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ゴースト・イン・ザ・シェル(実写版攻殻機動隊) 感想 ネタバレなし

■総評

押井守版と神山健治版を上手くまとめたストーリーが面白い

・アクションとビジュアルのダサさが致命的

攻殻機動隊ファン、SF好きにオススメ

・吹替版を見るのがオススメ

 

 

■人種問題について

まず最初に、

公開前から「主人公役を白人が演じるのは止めろ!」と批判が巻き起こり、

ネガティブなイメージが先行していた事について。

 

これは完全に風評被害

そもそも、原作の主人公である少佐(草薙素子)からして、

全身義体化をしており詳細な年齢も国籍も不明というキャラクターだった。

使用している義体の外観も量産品と同様という設定である。

 

少佐は同性とのセックスも行う。

人種や性別、年齢と言った「個性」が重要視されなくなってくるのが、

この作品の大きなポイントになる。

だから、少佐役を誰が演じたって何の問題もない

 

更に、

実写映画版で少佐が「ミラ・キリアン」という名前になっている事には、

トーリー上重要な意味が用意されていた。

この改変はストーリに上手く作用していて、

今までのどの攻殻機動隊とも違った面白さを生み出していた。

 

結局、映画を見もせずに白人化を批判していた人達は、

この映画に対しネガティブ・キャンペーンを行っただけという結果になっていると思う。

 

■感想

トーリーが良く練られており、

攻殻機動隊ファンには嬉しい演出も多数あり楽しめた。

 

基本的には、演出も含め押井守版(アニメの旧劇場版)と同じ。

そこに神山健治版(SAC2ndGIG)の要素を足して、

2時間弱に見事にまとめて有る脚本は見事だった。

 

上記「人種問題について」で書いた通り、

改変した内容がこれまでと違った面白さを生み出している点が良かった。

設定上どうしても小難しくなりがちなストーリーを上手く簡略化して、

見やすくなっていたとも思う。

 

ただし、とにかくビジュアルがダサい

少佐の白人化は問題ないとして、

スカーレット・ヨハンソンはお世辞にもスタイルが良いとは言えず、

全身義体化しているとはとても思えない見た目。

 

背景や武器も古臭くて格好悪い。

どうやら押井守版や

ブレードランナーを強く意識してわざとそうした面も有るらしいが、

2017年に見る新作としてはマイナス要素になっていた。

 

アクションシーンも全体的に地味で面白みがなく、

目立つのがアニメ版のオマージュばかりなのは良し悪し。

 

無駄にバセットハウンド犬を出す辺りの押井守リスペクトは良いが、

アクションは現代化して、もっと独自要素を出して欲しかった。

 

トーリーが良かっただけに、

それ以外の要素がイマイチで完成度が下がっているのが残念。

 

とは言え、攻殻機動隊ファンであれば楽しめるし、

SF物として良く出来た作品だと思う。

 基本的に押井守版そのままなので、当然と言えば当然なのだが。

 

■字幕版/吹替版について

今回は押井守版、神山健治と同じ声優が吹き替えを行っているので、

吹替版で鑑賞した。

 

北野武が演じる荒巻課長は元々台詞が日本語なので、

字幕版を見ると英語と日本語の台詞が入り交じる事になるはず。

 

字幕を読みつつ

北野武がボソボソ喋るのを聞き取るのはかなり難易度が高そうなので、

鑑賞の際は吹替版を見る事をオススメ。

 

吹替版でも北野武の台詞が聞き取りづらいので、

表示される英語字幕を見てなんと言っているか把握するという、

おかしな状況になってしまった。

 

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