■総評
・前作ファンは絶対に見るべし、これ以上無いと思える素晴らしい続編
・前作を見てない、覚えてない、そもそも好きじゃないという人は楽しめないかも
・ご都合主義な展開が目立つのがマイナス
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■感想
大体この手の「あれから◯◯年……」といった作品は蛇足感が強く、
なんで今さら作ったの?と思われる結果になりがちだけど、
トレインスポッティングは違った。
まず何より、20年経った4人の俳優達が凄く良かった。
当時の面影を残しつつ年月の経過を感じさせる風貌。
これだけでもう「ああ、観に来て良かった」と思える程。
中身は相変わらず馬鹿でアホでクズのクソ野郎ばかりなのには安心感すら覚える。
特に、馬鹿だけど心根は優しいスパッドが、
オッサンになってからより良いキャラクターになっていて印象的。
前作に繋がる重要なネタも用意されていて、
実質的に今作の主人公はスパッドだったと思う。
前作もどうしようもないクソ野郎のクソみたいな話だったけど、
今作では成長を見せないままオッサンになってるので余計に質が悪い。
「20年経ってもクソはクソのままなんだよ!」という、
トレインスポッティングとしては正しい続編である。
とは言え、雰囲気重視だった前作とは違って、
主役4人がぶつかり合う人間ドラマの要素が強く、
前作をなぞらえつつも違った展開を見せてくれるので楽しめた。
退廃的な雰囲気とスタイリッシュな映像に格好良い音楽も健在。
ストーリー自体は暗くて重くて気分が悪くなるような内容なのに、
不思議と爽快感が有るのも前作同様。
あの音楽が流れそうで流れない、
登場人物の内面と音楽がリンクする演出が凄く良かった。
ただ、全体的に結果ありきで都合の良い展開が目立ったのは気になった。
特にベグビー関連は雑すぎて集中できなかった。
普通に出所した設定で良かったんじゃないだろうか?
■監督のダニー・ボイルについて
ダニー・ボイルは世界が認める一流映画監督だけど、
やっぱりミニシアター系の尖ってる作品を作るのが抜群に上手いなと思った。
好きな作品を上げると「28日後…」や「127時間」で、
大作になると失敗する監督という印象。
(そもそも娯楽大作をダニー・ボイルに頼んだのが悪かったという気もするけど。)
次回作もヘンテコな小規模作品で面白い物を期待したい!