タリア編のみクリアした上での感想。
■総評
・戦闘とキャラ育成が最高に面白いRPG
・サガ好きは是非とも購入するべし
・伊藤賢治の音楽が素晴らしい
・キャラクターやストーリー要素は薄い
・ロードの多さ、長さが気になる
■感想(システム面)
このゲーム、なんと探索が可能なダンジョンも街も存在しない。
ワールドマップが有るのみで、洞窟等を調べると戦闘が発生、
街を調べると武器防具の強化や会話イベントが発生するのみである。
上記の仕様やロードの長さから、発売前の評判はかなり悪かった。
グラフィックも2016年のゲームとしては見栄えするものでもなく、
地雷覚悟で購入した。
しかし、余計な要素を徹底的に排除して、
戦闘と育成の面白さに重点を置いたことで、
このゲームは傑作に仕上がっていた。
とにかく戦闘が面白い。
バフ(ステータスアップ効果)とデバフ(ステータスダウン効果)が非常に重要で、
雑魚戦でもゴリ押しでは全く通用しない程のゲームバランス。
常に最適化を考え、緊張感溢れるバトルを楽しむ事ができる。
連携システムも非常に奥が深く、場合によっては、
「わざと味方を死なせる事で連携を発動させてピンチから脱する」
といった判断も重要になる。
育成に関しても幅が広い。
複数の武器種で技を閃く事で、
「ロール」と呼ばれる常時発動する特殊効果を習得出来る。
一つの武器種を優先して極めても良いし、
多くの種類の技を閃くことでロールを強化するのも良いといった具合。
また、「恩寵」というシステムも存在し、
これは戦闘中ピンチになると一定の確率で様々な特殊効果を得る事が出来る。
難易度が高い中で多少のランダム性が加わる事により、
戦略の幅が広がり戦闘中のドキドキ感も増す非常に良いシステムだ。
■感想(ストーリーなど)
そして何より伊藤賢治(サガシリーズの作曲家)による音楽が素晴らしい。
今回は主人公毎に通常バトルのBGMが違うというこだわりようで、
ゲームの雰囲気作りに大きな影響を与えている。
恐らく予算がかなり少ない事から、
この「戦闘と育成だけにこだわる」という思い切った仕様にしたと思われるが、
それが功を奏して非常に奥深く魅力ある作品になっている。
とは言え、サガらしいフリーシナリオでサブクエストが多く選択肢も非常に豊富。
「え?これで終わり?」と思うような事も多いが、
ここは攻略サイト等は出来るだけ見ずに自力で進めた方が楽しめると思う。
どうやら複数の主人公で攻略したり設定資料集を読むことで、
ストーリーや世界観もかなり細かに設定されている事が分かるらしい。
周回プレイ(他の主人公でのプレイ)を前提にしてある作りなので、
最初から攻略法を見て最適解を選んでしまうと、面白さを損なってしまうだろう。
FFやドラクエ、テイルズといったストーリー主導のゲームと比べると、
今作ではそれが極まっているという印象だ。
その影響でストーリーの起伏もあまりなく、
ラスボス戦の盛り上がりも欠けていたのが残念だった。
しかしこのラスボスが凄まじい強さで、
ラスボスにたどり着いてからが長かった。
武器防具を強化し、技を閃いて、ロールを覚えて、使用する陣形を見直し、
そのために再度世界中を回って……。
「ラスボスにたどり着いてからが本番」という様相を呈していた。
このおかげで、結果的にはラスボスを倒した時の達成感が凄まじかった。
本当に、戦闘の楽しさに全力を注いで作られているゲームだ。
数あるRPGの中でここまで難易度が高く、
かつバランスが良い作品はそうそう無いだろう。
ターン制RPGとしては究極系とも言える程の出来だと思う。
手応えのあるRPGを遊びたい人、
サガシリーズが好きな人にはぜひ遊んで欲しい。