■総評(GOOD)
・映画的な派手さを廃した緻密な銃撃戦が面白い
・人間撃たれてもそう簡単には死なない、という泥臭さが良い
・個性派揃いの俳優陣が魅力的
■総評(BAD)
・登場人物が多すぎて把握できないままに話が進んでしまう
・倉庫内での銃撃戦というワンシチュエーションの発想は良いが、
テンポが悪く見ていて飽きる
・カメラワークと編集が悪いのか、画面がゴチャゴチャして見づらい
■感想
発想は良いし、リアルさを重視した銃撃戦も面白いのだが、
映画的な面白さはイマイチ……といった感想。
予告編でも印象的だった、
「誰が味方か分からない!」
という台詞がこの映画を象徴している。
何が何だか分からないカオスっぷりがこの映画の売りだとは思うのだが、
いかんせん登場人物が多すぎて、誰が誰だか把握するのが難しい。
2つの組織とその仲介役に加え、
どちらの味方か不明な人物まで出てくる。
登場人物は半分くらいで良かったと思う。
リアルな銃撃戦に加え、
タランティーノ作品のような群像劇や緊張感を表現したかったのかな、
とは思うが「色々やろうとして中途半端になった」という印象。
登場人物への感情移入が出来ないので、
「一体誰が最後まで生き残るのか!?」というワクワク感がないのが致命的。
それに加え、どうにも全体的にテンポが悪いし、カメラワークも良くない。
なんだかゴチャゴチャしていて没入感が低い。
殴り合いのシーンはほとんど何をやっているのか分からない。
シャールト・コプリーやキリアン・マーフィといった
個性派俳優の面々は魅力的だったが、
それもはやり無駄に多い登場人物のせいで霞んでしまっていた。
特にシャールト・コプリーは
つい最近見た「ハードコア」で非常に魅力的なキャラクターを演じていたし、
こちらの作品もひたすら銃撃戦を繰り返す作品だったのでどうしても比べてしまう。
FBIの資料を読んで「人間撃たれてもそう簡単には死なない」と知り、
それをこの映画で表現したそうだ。
撃ってもそうそう当たらないし、当たっても中々死なない。
このグダグダした感じが長所にも短所にもなっていたと思う。
楽しめはしたが、不満点も多く、「惜しい」作品だった。