■総評
・本格派SFでありつつ重厚な人間ドラマが楽しめる傑作
・SF好きにオススメ
(最近の作品で言うとインターステラーやシュタインズゲート好きに)
・独特の淡々とした描写と映像美、なによりこだわった音響が良い
・世界観や設定を楽しめない場合、中盤まで退屈に感じるかも
■感想
突如地球にやってきた宇宙人とコミュニケーションを取るため
「もし本当に宇宙人がやってきたらどう対応するか?」
というシミュレーション的な要素にワクワクする。
世界各国が宇宙人に対しどう対応するか牽制し合う様子も興味深い。
終盤まではやや地味な展開が続くものの、
独特の雰囲気とこだわった音響で魅了された。
基本的に静かなシーンが多いだけに、
軍用のヘリや戦闘機が飛んで行く際の重厚な音や、
UFOや宇宙人が出す不気味な音でメリハリが効いていたと思う。
ネタバレになるのであまり書けないものの、
凝った設定のSF要素も凄く楽しめた。
ちょっとヒントが多すぎて途中でネタには気づいたものの、
終盤の展開で感じるカタルシスが凄い。
SF的なトリックと人間ドラマが密接に絡み合っていて、
鑑賞後に様々な事を考えさせられる作品。
セリフの一つ一つが重要な伏線になっているので、
二度目の鑑賞が本番になりそうだなという印象。
ただし、SFがそんなに好きじゃない、この設定にあまり興味を抱かない、
という人は退屈に感じる可能性が高そう。
ぼーっと見てると終盤の展開について行けないので集中力が必要だし、
そもそもある程度のSF方面への知識が無いと十全には楽しめないかも。
■本作と原作小説について
言語学者と物理学者の二人がメインで宇宙人と対話を試みる展開だが、
物理学者の存在感(必要性)が薄いのが気になった。
見ていて「この人、この作戦に居る意味有るの?」と感じたぐらいだ。
これは原作ではもっと丁寧に描かれていた部分が大幅にカットされているらしい。
原作である短編小説「あなたの人生の物語」は、
実写化が非常に難しいと言われていたそうだ。
実写映画化した本作は
「よくこのクオリティで映像化した」と高く評価されている反面、
「原作の良さが大幅に失われている」という意見も有るようだ。
原作小説を読んだ上で改めて本作について記事を書く予定。
追記:
書きました。↓
【ネタバレ有り】映画「メッセージ」と原作小説「あなたの人生の物語」について解説 - 椅子と椅子の間から観る