■総評(GOOD)
・アマネット王女役のソフィア・ブテラがエロカッコよくて魅力的
■総評(BAD)
・ストーリーが滅茶苦茶
・戸田奈津子氏による翻訳が酷い(字幕版)
・ホラー、アクション、アドベンチャーどの要素も中途半端
・何処かで見たことの有るアクションばかりで見せ場がない
・トム・クルーズが役に合っていない
- ■「ダークユニバース」第一作目だが……
- ■まずは良かった所
- ■とにかく適当で雑な描写
- ■描写の不可解さは翻訳の質の低さの影響も?
- ■盛り上がりに欠ける作品
- ■トム・クルーズが致命的に合っていない
- ■なんじゃこのラスト(以下ネタバレ有り)
■「ダークユニバース」第一作目だが……
本作は、
・透明人間
・狼男
等のクラシックモンスターを共通の世界観で描く「ダークユニバース」1作目である。
が、ハッキリ言って「このシリーズ打ち切りになるんじゃ?」と思ってしまう、
B級映画と割り切って見てもつらい出来栄えであった。
また、本作は「ミイラ再生」をリメイクした作品でも有る。
同様に「ミイラ再生」のリメイク作なのが「ハムナプトラ」だが、
ハムナプトラの完成度が高かっただけに、本作への評価がより厳しい物になってしまう。
■まずは良かった所
アマネット王女役のソフィア・ブテラがエロカッコよくて、
非常に魅力的だったのは良かった。
(この女優はキングスマンでも義足の殺し屋役が凄く印象的だった。)
しかし、あまり出番が多くないのと、
物語の都合によって急に強くなったり弱くなったりするので、
その魅力も活かせていなかった。
■とにかく適当で雑な描写
まず、ストーリーが滅茶苦茶である。
観客が世界観や設定を理解する前にどんどん話が進んでしまう。
「ジキル博士とハイド氏」の内容を知ってないと意味不明なシーンも有る。
「ダークユニバース」ありきで作ってしまったせいで、
脚本家と観客の持つ知識量の差を埋める事が出来ていないように感じた。
また、シーンとシーンの繋がりが雑で、
「なんでそうなるの?」「どうしてこうなったの?」
と理解が追いつかない事も多い。
位置関係や時間軸の描写が適当過ぎて、
さっきまで別の場所に居た人物がワープしたように見える事も有る。
王女が主人公を操ったり操れなかったりするのも意味が分からない。
全体的に「物語の都合でキャラが動かされています」という印象だった。
■描写の不可解さは翻訳の質の低さの影響も?
戸田奈津子氏が翻訳した作品では度々言われる事であるが、
誤訳や珍訳、変な言い回しが多くて映画自体の面白さを損なっている。
本作(字幕版)も、
明らかに会話のキャッチボールが出来ていないシーンや、
意味の分からない変な単語が頻出するので、
内容が頭に入ってこなかった。
元の脚本の雑さに翻訳の酷さが加わって、
脳が理解を拒否してしまう奇妙な作品になってしまっている。
僕は吹替版は見ていないが、字幕版よりはマシなはずである。
これから観る人には吹替版をお勧めしたい。
■盛り上がりに欠ける作品
アクション、アドベンチャー、ホラー、どの要素をとっても中途半端で、
結局何をやりたいのかが分からない映画であった。
アクションは派手ではあるのだが、どこかで見た事が有るようなシーンばかりで、
「予告編が一番面白かった」という作品の典型例である。
どうやらこの作品、「ダークユニバース」として作成する為に、
複数の有名脚本家が関わって作成されたそうだ。
おそらく、それが裏目に出て、
まとまりが無ければこれといった売りもない脚本になってしまったのだろう。
■トム・クルーズが致命的に合っていない
主人公役のトム・クルーズがこの作品から完全に浮いてしまっている。
余りにも屈強なので緊張感が全く無い。
トム・クルーズを起用するからにはアクションを見せなければ、
という事でこんな事になってしまったのだろうか?
その上で、自分勝手で軽薄でどこか煮え切らないという人物設定なので、
主人公に感情移入出来る要素が無いのも問題。
■なんじゃこのラスト(以下ネタバレ有り)
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まず、王女が儀式用の大事なナイフをうっかり奪われるシーンがずっこけである。
あれだけ圧倒的な力を持っているのに、なぜああも簡単に奪われる?
そして、そのナイフで自分を刺してミイラ化したトム。
なんと死者を蘇らせる能力を手に入れた!
王女との戦いで死んだヒロインも、映画冒頭で死んだ相棒も蘇らせてハッピーエンド!
(しかも見た目は完全に人間のままである。)
えっ、これ、本当に大丈夫なの?
今後、世界観を共有するダークユニバースが展開するんだよね?
そこで死者蘇生能力を持つ正義のミイラ男が居たらなんでも有りじゃない?
まぁ本作でも王女は主人公を操ったり操れなかったり能力にムラが有ったので、
今後も話の都合に合わせて能力を使えたり使えなかったりするのだろう。
そんな風に、今後のシリーズ展開にも期待できなくなる作品であった。
ハリウッド大作でここまで滅茶苦茶な内容を見たのは久しぶりだったので、
貴重な体験が出来たことは間違いない。