■総評(GOOD)
・CGのクオリティが素晴らしい
・過去二作を経てのシーザーの言動が熱い
■総評(BAD)
・ご都合主義で展開が雑すぎる
・上映時間が長く中盤が退屈
・猿の存在感が薄い
・ノバ(人間の女の子)が居る意味がほぼ無い
■今度は戦争だ?
創世記、新世紀、と続いたシリーズの最終章で、
原題でも「War for the Planet of the Apes」となっており、
戦争という要素が強調されている。
実際、話の流れやパロディ要素を見ても、
明らかに「地獄の黙示録」を意識して作られている。
が、その割にはあまり戦争要素はなく、
なんなら二作目の新世紀の方が「戦争」という言葉が相応しかったと思う。
上映時間のほとんどがあまり緊張感のない会話や移動シーンだけで、
オープニングとラストのアクション以外は正直に言って退屈だった。
逆に言えば、オープニングとラストのおかげで映画館で観て良かった、
と思う事は出来た。
■猿、あんまり関係ないよね?
何より問題だったのが、猿の存在感が薄い作劇である。
これは、シリーズとしての構造に問題が有ったのでは、と思う。
一作目で賢い猿の誕生と人間社会の崩壊、
二作目で猿同士の抗争と人間vs猿が絡み合う展開をやったので、
本作は人間同士の戦いに間接的に巻き込まれるだけになっており、
どうにも観ていて乗り切れない。
見ていて勝手に戦え!としか思えなかった。
猿ならではのアクションシーンがほとんど無かったのも非常に残念で、
全体的にこのシリーズならではの良さが無くなっていたように感じた。
■雑な展開の連続
もう一つ、話に乗り切れない理由が、あまりにも雑な展開が続く事だ。
人間も猿も警備が雑すぎだろ!
そんなに堂々と行動しててなんで気づかれないんだよ!
近代兵器で戦闘すると分かってて、その壁の構築に意味は有るの?
最後の戦闘終了後のアレは、いくらなんでも人間側が馬鹿すぎる!
と、低予算B級映画のような展開ばかりで、細かい所が気になって集中できない。
ハリウッド大作の悪い所を寄せ集めたような作りだった。
見つからないように上手く侵入や移動をしています、
という演出をちょっと入れるだけで良かったと思うのだが、
テンポが悪くなるからあえてそういった箇所は見せなかったのだろうか?
人間の女の子ノバもオリジナル1作目に繋げる為に出しただけにしか思えず、
本作においては存在している意味を見出す事が出来なかった。
■映像は素晴らしい
CGは本当に凄かった。
前二作はまだゲームのムービーシーンを見ているような感覚が有ったが、
本作は「賢く進化した実写の猿」にしか見えなかった。
シーン1つ1つも非常に美しく、見ていて飽きなかった。
映像の力をこれでもかと活かした作品であると感じた。
おそらく、あえて細かい情報を捨てて映像の力で勝負する事で、
「マッドマックス:怒りのデスロード」のようなカタルシスや、
戦争映画のようなケレン味を出そうとしていたんだろうな、と思った。
しかし、その狙いとストーリーが上手く噛み合っておらず、
細かい所が気になるし退屈に感じる事が多い映画だった。
過去二作を思い出しシーザーに感情移入して胸が熱くなるという要素がなければ、
途中で見るのを止めていたかもしれないくらい、自分には合わない映画だった、