椅子と椅子の間から観る

映画とかゲームとかの話

【映画感想】デトロイト【ネタバレ無し】

■総評(GOOD)

・ホラー映画を見ているような緊張感

・実際にあった事件だけに、色々な事を考えさせられる

 

■総評(BAD)

・映画としてのまとまりに欠ける

・誰のどんな証言を元にしているのか、といった背景部分が引っかかってしまう

 

 

 

ホラー映画のような緊張感と理不尽さ

キャスリン・ビグロー監督作品は淡々と描かれる静かな恐怖が特徴的だったが、

今回は特にそれが色濃く出ていたと思う。

 

まず暴動に至るまでの雰囲気が怖いし、

延々と続く拷問が始まってからの緊張感がとにかく凄まじい。

 

拷問を行う白人警官の理不尽さは、

ジェイソンやフレディのようなホラー映画におけるモンスターと同じだなと思ってしまう程である。

 

その余りにも理不尽な暴力を、人間が、

よりによって警官(それも複数人)がやっているというのが恐ろしい。

 

見ていて本当に憎く思えてくる白人警官を演じたウィル・ポールターは超ハマり役。

この映画での嫌な奴という印象が強すぎて、

今後の俳優人生に良くも悪くも大きな影響を及ぼしそう。

 

と言っても、既にメイズランナーで広く知られているようだが、

僕はレヴェナントの脇役でしか見たことがない俳優だった。

(とは言えレヴェナントだけでも結構印象に残っている俳優だったので、

今後の更なる活躍が楽しみ。)

 

映画としては色々と問題点が

序盤は正直見ていて退屈であった。

暴動が起こるまでのピリピリした緊張感は良かったが、

そこから映画の主題である「警官による拷問」までがちょっと長い。

 

その割に終盤の裁判等のシーンはあまり力が入っていないように思えるし、

それまで登場していなかった被害者の家族等が急に出てくるので、

映画が終わるちょっと前になって登場人物を把握するのが大変になる構成は疑問。

 

また、登場人物が多く複数の視点で描かれるのだが、

そのバランスが悪く複数視点である事がイマイチ機能していなかったように思えた。

 

特にジョン・ボイエガ演じる警備員役の描写が足りていなかったと感じた。

特に終盤、あれ?いつの間にそうなったの?と気になる部分が有り、

いっその事彼の存在はカットした方が映画としてはスッキリしたのではないだろうか。

 

しかし、あくまで事実を元にした作品なので、

あまり改変しても問題になるだろうしそこは難しい判断だったと思うし、

分かっていてこういう構成にしたのだろうとも思う。

 

事実が気になりすぎて……

50年前に起こった事件であり、

事件の被害者も存命で映画の製作に協力してもらったそうだ。

 

しかし、あくまで関係者の証言や裁判の記録等を元にして作られた「映画」なので、

「どこからどこまでが脚色なのか?想像で描いた部分なのか?」

という事が気になりすぎて、どうにも消化不良であった。

 

正直、ドキュメンタリータッチの映画ではなく、

完全なドキュメンタリーとして被害者の証言や裁判の記録、

マスコミの報道等を紹介した方が良かったのでは?

と思ってしまう内容だった。

 

こういった感想を抱き、

色々と考えている事がもう製作者の意図通りだとは思うが、

やはり「映画」として観るにはちょっと難が有るかな、と感じた。

 

 

 

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