アニメ版ゴジラには前日譚の小説「GODZILLA 怪獣黙示録」が存在しており、
これが非常に面白かった。
そちらの感想記事は以下。
怪獣惑星を観る前に読んでおこう『ゴジラ 怪獣黙示録』 - 椅子と椅子の間から観る
そして、小説版の2作目となる「プロジェクト・メカゴジラ」も最高に面白かった。
前作でも同じことを言ったが、小説版をもっと大々的に宣伝すべきだ!
怪獣黙示録、プロジェクト・メカゴジラ、
どちらも大傑作小説と言うに相応しいと思う。
「SF設定のアニメゴジラには興味ないなぁ」という人こそ、前日譚となる小説を読んで欲しい。
きっとアニメ版を見たくなり、見れば凄く楽しめるはずだ。
記事の後半にはネタバレ有りのストーリーまとめ及び感想を載せます。
ネタバレ無しの感想
1作目は「多数の怪獣とゴジラの出現によって追い詰められていく人類」を描いていたが、
2作目は「メカゴジラという人類最後の希望によって更に深まる絶望」が描かれている。
何もかも失って、最後にメカゴジラの建造という希望が一つだけ残り、
メカゴジラを守るために、狂気という言葉すら生ぬるい行動に走る人類の描写が凄まじい。
とは言え、絶望ばかりではなく、◯◯◯が登場するシーンは超激熱。
あらゆるゴジラシリーズの中でも屈指の名シーンだ。
アニメ版2作目への期待も高まる素晴らしい内容だった。
前作の小説やアニメでは不明だった部分が判明する箇所も多く、
アニメ2作目「決戦機動増殖都市」鑑賞前に
プロジェクト・メカゴジラを読んでおいたほうが絶対に良いだろう。
そういう意味では、アニメのみで完結してないのは問題では?とも感じるが……。
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ネタバレ有りまとめ、感想
小惑星ゴラス
- ゴラスと命名された小惑星が地球に向かっており、回避する手段もなく、地球の壊滅は決定的だった
- なぜかゴラスの接近を察知したゴジラは人類への攻撃を一時中止、姿を消す
- ゴジラは北極に移動し、ゴラスに向かって熱線を放射、ゴラスを粉砕
(北極に移動したのは強力な熱線放出による体温の上昇を冷ます為) - ゴラスは物理法則を無視してまっすぐ地球に向かっていた事から、何らかの意志が存在していたと思われる
人類の地球脱出とメカゴジラ
- ゴラスの衝突から逃れる為に計画された宇宙基地が、地球脱出用の恒星間宇宙船の建造に繋がった
- それにより、逃げるのか戦うのかで人類が割れ、徹底抗戦の要であるメカゴジラの建造に支障をきたした
メカゴジラ建造の為の犠牲
- メカゴジラさえ完成すれば救われると信じた人類
- ゴジラを足止め・誘導する為に各地で消耗戦を繰り返す
- ユーラシア大陸のプレートを2千発の熱核爆弾で破壊しゴジラを埋める作戦も、メカゴジラ建造の時間稼ぎのためだった
ゴジラ日本上陸
もう一つの希望
- 恒星間宇宙船が地球を脱出したたが、多くの人類が地球に残された
- 地球連合の新たな本拠地にゴジラ出現
- そこにモスラも現れ、痛み分けの結果ゴジラを撃退
- アマゾンの奥地でモスラを神として崇めていた「モスラの民」来訪
- モスラの民によると、本来は2体のつがいの怪獣で、2体居ればゴジラを倒せる可能性があった
- しかし、小惑星ゴラスの接近を察知し片方(バトラ)だけが早く目覚めてしまい、ゴジラと遭遇、ゴジラに倒されてしまった
(この時ゴジラはバトラのパワーを取り込み、ゴラス粉砕に利用したと思われる) - 2体のモスラが産んだ卵が残されており、これを守り抜くのが人類の使命となる
- いずれ人類が地球に戻った時これらの記録が役に立つと信じ、情報を残す主人公
- 卵輸送の為に囮なる部隊に主人公とその妻(アニメ主人公の両親)も参加する所で終了
ネタバレ有りの感想
小惑星ゴラスの出現からモスラ登場まで様々な要因が絡んでおり、
ストーリー物としても非常に面白かった。
前作でもそうだったが、怪獣の驚異と共に、人類の愚かさを徹底的に描いているのが凄い。
レポート形式で多数の人物の視点から描く方式が非常に上手くハマっている。
また、決して悪ではないが、地球人とは全く異なる感性持った宇宙人の恐ろしさも際立っている。
ナノマシンを地球に流し込んで地球そのものをコントロールしたり、
ゴジラを倒せる兵器を作り出すという事になんら疑問を感じない事への違和感。
と、色々あるが、とにかくモスラの登場が熱い。
ひたすら絶望に向かって突き進み、
そしてアニメ二作目ではメカゴジラとモスラ両方が活躍するだろうという期待感。
一つの小説としても、アニメの補完としても、本当に最高の作品だった。