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【映画感想】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド【ネタバレ無し】

■総評(GOOD)

・魅力的なキャラクター

タランティーノらしく、かつ、ちゃんと意味のある会話劇

・テンポの良い編集

・効果的な音楽の使い方

 

■総評(BAD)

・2時間40分という上映時間の長さは人によって退屈に感じそう

・時代背景を知らないと十分に楽しめないかも

 

 

タランティーノ流の極み

凄く不思議な映画だった。

ストーリーらしいストーリーが存在しないのだ。

 

落ちぶれた俳優とその専属スタントマンを中心に、

当時のハリウッドの様子を切り取って上映したような作品だと感じた。

 

そう言うと「なんだその映画、面白いの?」と思われそうだが、最高に面白かった。

 

キャラクターがとても魅力的で会話の一つ一つが楽しいし、

迫りくる不穏な空気での緊張感が凄かったし、何より涙が出るほど笑えた。

両隣の客も椅子を揺らすほど爆笑していたのが凄く印象的だった。

 

タランティーノらしい群像劇と会話劇が完璧に洗練されたらこうなった、

という感じだろうか?

 

会話の面白さ

ただ、今までのタランティーノ作品とはだいぶ違うと感じた所もあった。

タランティーノの映画というと「意味のない会話」が延々と続くのが特徴で、

今回も会話シーンがとても多いのは共通しているのだが、

しかしその会話の一つ一つに意味があるように感じられた。

 

明確なストーリーラインが存在しない分、

会話劇に意味をもたせる事で映画として面白くなっているような印象だ。

 

特に、子役の女の子とディカプリオ演ずるリック・ダルトンの会話が素晴らしかった。

笑いと感動と哀愁が詰まった名シーン。

 

上映時間の長さと、物語の背景について

個人的にはタランティーノ独特の間の長い演出が好きなので退屈することはなかったが、

2時間40分というかなりの長尺については、人によっては退屈さを感じると思う。

 

タランティーノ作品は極端に評価が分かれる傾向にあるので、

やはり本作もそれに漏れない作りだなとは感じた。

 

それと、主人公二人の生活の裏で進行する、

マンソン・ファミリーによるシャロン・テート殺害事件について。

 

これについては、映画を見る前に、

Wikipediaや映画情報サイト等でざっと予習しておいた方が良いと思う。

当時の時代背景を知っているかどうかで、映画への没入度が変わるだろう。

 

難しいことを考えずに

と、色々言ったが、ディカプリオ演ずるリック・ダルトンと、

ブラピ演ずるクリフ・ブースが最高に魅力的なので、

この二人によるバディものとして見るだけで楽しめると思う。

 

どちらも「ジャンゴ」と「イングロリアス・バスターズ」でタランティーノ作品に出演した経験があるが、

その時とは全く違った魅力を感じる素晴らしいキャラクターだった。