■総評(GOOD)
・迫力満点のレースシーン
・エンジン音の気持ち良さ
・BGMのセンスも抜群
・二人の主人公が魅力的(特にクリスチャン・ベールの演技が素晴らしい)
・他キャラクターとの絡みも面白く、人間ドラマとしての完成度も高い
■総評(BAD)
・フォード社内でのごたごたがメインで、フェラーリ要素がほとんど無い
・主人公側の戦法にモヤっとする箇所有り
見ていて素直に面白い名作
シンプルに「面白い!」と思える映画だった。
迫力満点のレースシーンと腹に響くようなエンジン音を楽しむ為に、
映画館に行って良かった!と心から思えた。
主人公であるケン・マイルズの破天荒さと繊細さが非常に魅力的で、
それを演じたクリスチャン・ベールの演技力も凄まじかった。
クリスチャン・ベールは出演する作品毎に別人にしか見えない演技(と見た目)なので、
本当に凄い役者だなあと毎回思う。
ケン・マイルズは優秀なエンジニアであると同時にレーサーでも有り、
「自分で開発しているからこそマシンの限界ギリギリで攻める事が出来る」
というシチュエーションが非常に熱かった。
マット・デイモンが演じるもう一人の主人公、キャロル・シェルビーも非常に魅力的。
病気によりレーサーを引退したという経歴を持っており、
ケンとは違って社交性を備えていつつも熱い魂を持っている感じが良かった。
余談だが、僕はダッジ・バイパーという車が大好きであり、
この車の開発にもキャロル・シェルビーが関わっていると知ってなんだか嬉しくなった。
あえて不満点を挙げるなら
本当に素晴らしい映画だったが、気になる箇所も有った。
まず、タイトルの割にフェラーリ要素がほとんど無いのが残念だった。
が、多くの国(特に欧州?)では「ルマン66」というタイトルで公開されているとの事で納得。
それと、主人公側が結構酷い戦法を取るシーンが有り、
そこで素直に応援できない感じになったのがモヤっとしてしまった。
事実通りなのかもしれないが、映画的にどうなんだ、と……。
とは言え、全体的には熱い人間ドラマが展開されていて、
途中では少年漫画のような良い意味で馬鹿馬鹿しい殴り合いも有ったりと、
見せ方が上手くて153分という長さを感じさせない傑作であった。