■総評(GOOD)
・アニメの実写化というより、時代劇として面白い
・るろうに時代の剣心と、抜刀斎時代の剣心の演技の違いが素晴らしい
・1本の映画として完成度が高い
■総評(BAD)
・暗いシーンでの戦闘ばかりで見づらい
・上映時間が長い割にラストの展開が早すぎてやや残念
・時代背景を知らないと、展開について行けないかも
※ファイナルの感想は以下
【映画感想】るろうに剣心:ファイナル【ネタばれ有り】 - 椅子と椅子の間から観る
魅力的なキャラクターと時代背景
めちゃくちゃ面白かった!
ファイナルも面白いには面白かったけど、
色々と雑な感じもしてシリーズでは一番下かな……という感じだったが、
ビギニングは凄く完成度が高かった。
幕末時代の混乱と陰鬱とした空気が伝わってくるようで、
美術が本当に素晴らしい。
るろうに時代との違いがハッキリ分かる。
ストーリーにしっかりとした骨組みを作る役割をしていたと思う。
本当に良い役だった。
雪代巴役の有村架純も、
「雪代巴を実写で再現できるの?」という不安を吹っ飛ばす魅力を醸し出していた。
桂小五郎以上に出番が少ないが、
アクション映画としては、緋村vs沖田がピークだったと思う。
史実にないキャラクター達の残念さ
と魅力的なキャラクターが揃っていただけに、
ささっと消化されたラストバトルのキャラクターの薄さは残念だった。
ほぼモブキャラばかりで、ラスボスの辰巳=北村一輝も、
せっかく良いキャラクターに描けそうなのに、
パッと出てきてパッと消えていって惜しい。
まぁ、この辺りは原作でも同じだったので原作再現ではあるが……。
本作の空気からすると、
あのキャラクター達を濃く描くと漫画的すぎて浮いていただろうな、とも思う。
アクションは良くも悪くも抑え気味
これまでのシリーズは「漫画の実写映画化」であり、
荒唐無稽な超絶アクションがこれでもかと繰り広げられるのが魅力だった。
が、今回はそこは抑えめ。
おそらく「時代劇」としての作りを意識してだと思うが、
あまり飛んだり跳ねたりはしない、地に足のついたアクションだった。
でも個人的には、それが凄くハマっていたと思う。
良い意味でこれまでのシリーズとは方向性が異なり、
一本の映画として独立した完成度の高さになっていたと感じた。
ただ、上映時間の割にアクションシーン自体が少なめで、
特にラストバトルはほぼダイジェストな感じだったので消化不良な印象は有る。
ストーリー的に仕方ないが、夜の暗いシーンでのアクションがほとんどで、
見づらくて疲れるのもちょっと残念ではあった。
とは言え、邦画のアクションとしては他に類を見ない凄さであるのは間違いない。
シリーズの終わり
ラストシーンが鳥羽・伏見の戦いで、映画1作目に繋がる演出も最高だった。
ファイナルでなくビギニングを最後に公開したのは、この為だったんだな!
と納得。
10年かけたシリーズの最後として相応しい作品だったと思う。
それだけに、ファイナルが「繋ぎ」の作品として消化された感じがあって、
勿体なかったなとは感じるが……。
ただ、それも原作と同様で、
原作も追憶編(ビギニング)が話のメインで、縁との戦いは消化試合だった。
なのでまぁやっぱり、原作のあの感じをちゃんと再現しているとは言える。