椅子と椅子の間から観る

映画の感想・解説やゲームの話

【ドラマ感想】Fallout【記事後半ネタバレ有り】

■総評(GOOD)

・原作ゲームの世界観、雰囲気を完全に再現している

・Fallout5と言ってもよいストーリーで、原作ファンなら必見

・約1時間x8話あるがテンポ良く飽きずに見れる

・魅力的なキャラクター達

 

■総評(BAD)

・原作ゲームを知らないと世界観や設定についていけないかも

・グロ、ゴア描写が容赦ないので見る人を選ぶ

 

 

まさにFallout

ゲーム原作の実写化作品としては最高傑作!

と言って良いのではないだろうか?

 

それ程に良く出来ていて、面白かった。

 

理想的で平和なはずだけど狂気を感じるVault(地下シェルター)生活、

Vaultから地上に出た時のワクワク感、

そこからの無秩序で無慈悲で容赦なく汚い世界。

 

でもどこかコミカルな雰囲気で、魅力あふれるキャラクター達。

様々な立場、事情があり、何を選択しても正しいと思えない展開。

 

シリアスでグロテスクな世界観で流れるポップで懐かしさを感じさせる音楽。

 

ゲームを知っているとニヤニヤ出来る小ネタの数々。

Falloutと言えばラッドローチだよね!)

 

どこを取っても「これがFalloutだよ!」と言える素晴らしいドラマだ。

 

濃密でテンポが良い

ドラマ自体のクオリティも高い。

 

全8時間有るが非常にテンポが良く、ダレる事無く楽しめた。

 

Vault出身のルーシー、BOS隊員のマキシマス、グールのガンマン、

と立場の異なる3人の主人公が絡み合うストーリーは、

ゲームとは違う手法だからこそ表現できる濃密な内容。

 

全員が魅力的で、ルーシーを除いて全員がクズか、狂っている。

でもあの世界ではまともには生きられないのが分かるクズ描写なのが良い。

 

厳密にはVaultに残ったルーシーの弟視点のストーリーも展開されるので、

4人の主人公と言って良いと思うが。

 

映像面も非常に金と手間がかかっており、全く違和感なくFalloutの世界観を堪能できる。

 

ゲームを知らない人からするとドラマは説明不足でついていけない箇所も有るのでは?

という印象も有るが、しかし非常に出来が良いので、

このドラマを見てからゲームの世界に飛び込むのもぜひオススメしたい。

 

XboxGamePassに加入すればFallout3以降のシリーズをどれも遊べるので、

この方法が一番手軽だろう。

(Xboxを持っていなくてもクラウドで遊べる、このシリーズであれば多少の遅延は問題無いだろう。)

 

 

 

 

世界設定を深堀りする、かなり踏み込んだ内容(以下ネタバレ)

ドラマのストーリーは基本的にゲーム(3、4)と同じ流れ。

 

Valut出身の主人公(ルーシー)が行方不明の父親を探しに行き、

その流れで様々なトラブルに遭遇していく。

 

そこにBOS隊員のマキシマスとグールのガンマンが絡んでくるのだが、

このグールが非常に重要なキャラクターになっている。

 

結構設定が詰め込んであるので、箇条書きで紹介。

 

・グールの素性は、戦前に映画俳優として活躍していたクーパー・ハワード

・クーパーの妻バーブは、Vaultを製造したVault-tecの中心的な社員

・その縁でクーパーはValutのイメージキャラクターとして宣伝に参加する

(Vault-boyの印象的なグーサインはクーパーの発案だと分かる!)

・クーパーはバーブが行っている事業に疑問を持ち、盗聴器を仕掛ける

バーブが「Vaultを成功させるために我々が核を落とす」という発言を聞き、衝撃を受ける

・その後何が有ったか詳細は不明だが、グールと化し200年以上生きている

(この辺り、黒幕がいる事を匂わせており、シーズン2が有れば描かれるのだろう。)

 

という内容。

 

また、ドラマの舞台となるVault31~33に関しては、

戦前のVault-tec社員が冷凍睡眠で保存されており、順に起きてVaultを管理している、

という事も判明する。

(他の多数のVaultも、Vault-tecに協力する企業が様々な実験を行っている事が示唆される。)

 

まさに「Vault-tecがFalloutの世界を作った」という事が分かる。

 

ゲームでは描きづらい「この世界の成り立ち」をグール視点で描く、

というのがドラマならではで非常に面白かった。

 

ちなみに、クーパーの友人コズワースが、

自分の声をロボットに利用できるよう契約した、という小ネタも出てくる。

(コズワース:Fallout4に登場する執事ロボ。)

 

ドラマでここまで踏み込んで描くのか、と驚いた。

制作陣も「このドラマはFallout5だ」といった発言をしているが、

本当に実質Fallout5だと思う、それくらいの内容だった。