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【映画感想】コジラ・コング:新たなる帝国【ネタバレ有り】

■総評(GOOD)

・馬鹿馬鹿しい怪獣プロレスが最高に楽しい

 

■総評(BAD)

・コング、ゴジラ、人間パートの3つの視点で描かれるのが雑然としている

・人間ドラマパートのつまらなさが酷い

・ラストバトルが始まるまでは退屈

・怪獣の巨大さをあまり感じられない

・敵怪獣に魅力がない

・「新たなる帝国」はタイトル詐欺

モスラの扱いが雑で存在感が無い

 

 

 

 

良くも悪くも怪獣プロレス映画

良い意味でも悪い意味でも、予告編で期待した通りの映画だった。

終始馬鹿馬鹿しい絵面の怪獣プロレスを楽しめる。

 

しかし、ほぼラストバトルのためだけに有る映画で、中盤は退屈なシーンが続く。

 

一応チラホラと怪獣バトルが挟まるのだが、

それもラストバトルのためのお膳立てという感じ。

 

とは言え、

終盤のゴジラvsコング~地底での無重力バトル~地上での決戦、

の流れは超最高。

 

こういうので良いんだよ!の連続だ。

 

リングに入場するまでやたら時間をかけるが、でもそれも楽しみの一つなんだよ、

というまさに「プロレス」な作品であった。

 

3つの視点で描かれるのが鬱陶しい

この映画は人間、コング、ゴジラの3つの視点が交互に描かれるのだが、

それが上手く機能しているとは思えなかった。

 

とにかく大暴れするゴジラと、仲間を探して冒険するコングのパートは良い。

 

しかし前作同様、

人間ドラマパートが信じられないくらい退屈だし、不愉快。

 

前作でも陰謀論者のバーニーがとにかく不愉快だったのだが、

今回はバーニーが調査に同行する必然性も全く無く、

何故かモナークの研究者より賢く色々なことに気づいて解説を始めるのが意味不明。

 

「未知の世界を冒険する」という要素も、コングと人間の2つの視点で描かれるのでしつこい。

地底空間はあまり見栄えが変わらないので、「未探索地域」と言われてもピンとこない。

 

無駄に3つの視点が交互に展開されるので、集中出来なかった。

 

巨大さを感じられない怪獣、魅力のない敵

怪獣に巨大さを感じられないのも前作同様の欠点。

 

大きさの比較対象がない地底のシーンが多い事と、

地上でのバトルも怪獣目線で描かれるので、いまいち迫力がない。

 

それに加えて、今回は敵の怪獣に魅力がないのも残念。

 

明らかにコングに見劣りする体格のスカーキングは、

「かつてゴジラに負けた」という設定も有って全く脅威を感じられない。

 

スカーキングが使うムチは絵としては格好良いが、

それにそこまでの脅威を感じるかと言うと微妙だ。

 

冷気を操る怪獣シーモも「かつて地球に氷河期を起こした」という設定の割に、

スカーキングに従えられているので小物感が漂っていた。

 

ゴジラが脅威を感じて世界中を回ってエネルギーを集めていたが、

そこまでする相手とは到底思えなかった。

 

ギドラ→コング&メカゴジラ→スカーキング&シーモ、

とどんどん敵がスケールダウンしている感じがしてしまう。

 

「新たなる帝国」とは何だったのか

タイトルからしてスカーキングが地下勢力を集めて一大決戦をしかけるのかと思ったが、

そんな事はなかった。

 

スカーキング率いる猿軍団はかつてゴジラに負けており、

地下の溶岩帯に追いやられ細々と暮らしている。

秘密兵器としてシーモを飼っているという状態。

 

スカーキング以外の猿の怪獣はコングにボコボコにされる雑魚なので、

戦力としてはスカーキング&シーモだけ。

 

これのどこが「新たなる帝国」なのか分からない。

 

敗北者であるスカーキングが調子に乗って再戦を挑んだけどボコボコにされた、

というだけの話でストーリー的には本当に有っても無くても良い作品だった。

 

モスラの扱いも不満

人類の守護者であるモスラが世界の危機に再び目覚める、

といった流れであったがモスラの存在感があまりにも薄かった。

 

やったことと言えば、怒れるゴジラをなだめてコングに協力させた程度。

 

あとはピンチの主人公たちを都合よく救ってくれたが、

人間ドラマパートに全く関心を持てなかったのでどうでも良い。

 

わざわざモスラを登場させた意味を全く感じられなかった。

 

ゴジラ(2014)、ゴジラ:キング・オブ・モンスターズはゴジラ愛が溢れる素晴らしい映画だったが、

ゴジラvsコングと新たなる帝国はあくまでコングが主役であって、

ゴジラ要素はおまけ程度な感じが否めない。

 

不満点は多いが、映画としては凄く楽しい

と、不満点を書くと大量に出てきてしまう。

良い所も悪い所も前作と同様で、馬鹿馬鹿しい楽しさはスケールアップした、

という感じ。

 

文句タラタラではあるが凄く楽しめたし、オススメ出来る映画では有るので、

なんとも複雑な気持ちにさせられてしまう。