■総評(GOOD)
・メタネタ、パロディ満載のギャグが最高に面白い。
・銀魂独特の雰囲気を実写化出来ている。キャストの原作再現率も素晴らしい。
・橋本環奈、長澤まさみの下品な演技が最高。
・福田監督ファン、銀魂ファンであれば必見。
■総評(BAD)
・ギャグが滅茶苦茶笑える分、シリアスシーンが退屈。
・原作を知っている事前提の作りで、ファン向けの作品。
・いくらなんでも酷いCGと、神楽のアクションが見ていてつらい。
・BGMがうるさく、全体的にダサい。
- ■やり過ぎという言葉を知らないぶっ飛んだギャグ
- ■ストーリー自体はほぼ原作通り
- ■銀魂独特の世界観の再現と、完璧なキャスト
- ■殺陣はそこそこ楽しめるが……
- ■BGMがダサい、合っていない、うるさい
- ■空知x福田の最高のコラボレーション作品
■やり過ぎという言葉を知らないぶっ飛んだギャグ
銀魂も福田監督も「やりすぎ」なギャグが特徴で、
それがミックスされる事でとんでもない事になっていた。
デッドプール以上に第四の壁をぶっ壊すメタネタ、パロディの連発が凄まじい。
「これ、ちゃんと許可取ってるよね?大丈夫だよね?」と見てて不安になる。
ネタバレになるので詳しくは言えないが、
某漫画を読んであげるシーンや、
とある飛行装置を持ち出すシーンは笑いすぎて涙が出た。
福田監督&佐藤二朗でおなじみの、
「役者が笑うのを我慢できていないNGシーン」を本編に使用している演出も健在。
ただ、所々、ギャグを引っ張りすぎて白けてしまうシーンも有った。
また、メタネタやパロディが中心なので、
前提となる知識がなければ全く笑えないだろう。
(銀魂を観に来てあれらのネタを知らない人は居ないだろう、とは思うが。)
■ストーリー自体はほぼ原作通り
これは、良くも悪くも原作通り、といったところ。
原作漫画、アニメ、アニメ劇場版、と紅桜篇は何度も見ているので、
特に捻りのないストーリーは正直に言って退屈だった。
そもそも、シリアスなシーンはあまり面白くない事が多い、
というのは原作通りでは有るのだが……。
原作通りとは言え、
ストーリーやキャラクターの関係性は原作を知っている事が前提の作り。
原作ファンだと見飽きた内容だし、
ファンでなければ置いてけぼりで楽しめないであろう、
とストーリー面に関してはあまり良い印象は持てなかった。
ライトな銀魂ファンが一番楽しめる作品かもしれない。
■銀魂独特の世界観の再現と、完璧なキャスト
漫画の実写化で一番難しいこの点を、見事にクリアしていた。
カオスな世界観と濃いキャラがしっかりと実写で表現されている。
特に、橋本環奈(神楽)と長澤まさみ(お妙)が最高。
「あの女優が体当たり演技!」といった売り文句はよく見かけるけれど、
大体が肩透かしで終わる。
が、この二人は下品で暴力的な演技を全力でこなしていて、
それを見るだけでも価値が有る。
勿論、他のキャストも皆素晴らしい。
キャスティングに関しては文句の付け所が無いんじゃないだろうか?
橋本環奈(神楽)、菜々緒(また子)はやや棒演技なのが気になったが、
それぞれ下品さとエロさが際立っていたのでプラスマイナスでプラスの印象だった。
土方十四郎役の柳楽優弥は同じ福田監督作品のTVドラマ「アオイホノオ」で
主人公ホノオモユル役を演じていたが、
全く異なるキャラクターなのにどちらも原作のイメージ通りで驚く。
このちょっと濃い顔と、眼力の強さが漫画キャラに合うのだろうか?
キャストの良さだけで話題が尽きないので、このくらいにしておこう。
■殺陣はそこそこ楽しめるが……
殺陣は中々に気合が入っており、結構楽しめた。
侍(っぽい人)が登場人物である銀魂は、日本での実写化に有利だったと思う。
が、神楽のアクションシーンは映画館を出たくなる程に酷い。
あからさまな早回しとワイヤーアクションで一気にテンションが下がる。
神楽vsまた子のアクションは目を閉じていようかな?と本気で思った。
予算の関係で仕方ない面では有るのだろうが、CGも酷い。
PlayStation2のムービーシーンにも負けてるんじゃ?というレベル。
定春はギャグとして許せても、紅桜の描写は目を覆いたくなる悲惨さ。
しかし、CGに関しては、最初から期待していなかったのが邦画の悲しい所である。
■BGMがダサい、合っていない、うるさい
とにかくBGMが酷い。
BGM自体にセンスがなくてダサい、使うタイミングがおかしくて耳障り、
それらが組み合わせって非常にうるさく感じた。
作曲担当の瀬川英史は結構なベテランで福田監督と一緒に手掛けた作品も多く、
それらではこんなに悪い印象を持った事が無かったけれど、
なぜ今回はこうなってしまったのか不思議である。
製作期間が足りなくてやっつけ仕事になってしまったのだろうか?
■空知x福田の最高のコラボレーション作品
「銀魂を見事に実写化したた作品」であると同時に、
「福田監督が銀魂という素材を使って好き勝手やった作品」でもあると感じた。
福田監督の恐れ知らずで掟破りのギャグセンスが無いと成り立たない作品だし、
「実写化が大失敗してもそれはそれで美味しい」という、
非常に独特の雰囲気と立ち位置を確立した空知英秋もやはり偉大。
両者の才能が奇跡的に混じり合った実写化作品であったと思う。
新撰組の活躍をもっと見たかったのでぜひ続編を、と感じた程だ。