■総評
・シリーズ最終章に相応しい内容
・3部作としてよくまとまっている、と感じる事が出来た
・良くも悪くもシリーズファン向けの作品
(良い箇所も悪い箇所も過去シリーズと同様)
※過去作のネタバレも無いように書いているつもりですが、
過去作の内容を予想出来てしまうかもしれないので、
シリーズ未見の方は読まないのをオススメします。
■最終章というこだわり
「最終章」の名に相応しい、見事なシリーズ最終作だった。
今までのシリーズでも魅力的なキャラクターを容赦なく殺す潔さが有ったが、
本作では「今回でシリーズは終わりです」という潔さを感じた。
誰がどういう行動を取るか全く予想出来ない緊張感、
個性的なキャラクター達、独特の静かな空気感、
どれもがこれまでのシリーズ通りの魅力を放っていた。
個人的には、どうしようもないクズを演じていたピエール瀧が特にお気に入り。
ヤクザやチンピラ役がここまで似合う俳優は中々居ないと思う。
■欠点も今まで通り
度々聞き取れない北野武の台詞、
登場人物や組織が多い為一度見ただけでは理解しづらい相関関係など、
欠点となる箇所も今まで通りであった。
これまでに魅力的なキャラクター達をぶっ殺してきた為に、
過去作に比べるとややキャラが弱いかな、という印象。
特に、北野武の相棒役となる大森南朋に魅力を感じなかったのが残念。
個人的には、刑事役である松重豊の活躍をもっと見たかった。
ただ、主人公である大友を最終章にしてようやく好きになれた。
これについては後述。
■本作はヤクザ映画なのか?
勿論、ヤクザ映画である事は間違いないのだが、
「過剰な暴力を伴ったビジネスマンの作品」という印象を受けた。
これまでのシリーズでもその傾向は有ったが、最終章は特にそう感じた。
元証券マンのビジネスライクな人間が花菱会の会長になっていたり、
昔からいる人間も出来るだけ騒ぎが大きくならないように頭を使って立ち回る。
これまでのシリーズよりも更に
「金を稼ぐこと」や「組織を運営すること」が重視される世界観になっている。
そこを引っ掻き回す要因として主人公である北野武演じる大友が出てくるので、
見ていて非常に気持ち良かった。
これまでは周りの状況に振り回されている印象の強い主人公だったが、
本作で真に主人公足り得るキャラクターになっていたと思う。
こう考えると、3部作として非常によくまとまっているシリーズだと感じる。
バンバン撃ち合っている印象の強かった2作目と比べて
より「アウトレイジ」らしい最終作になっていて非常に楽しめた。