椅子と椅子の間から観る

映画の感想・解説やゲームの話

【映画感想】虎狼の血Level2【ネタばれ無し】

■総評(GOOD)

・キャラクター全員が魅力的、俳優陣の熱演が最高

・特に鈴木亮平演じる上林の強烈な印象が凄まじい

・容赦ない展開の連続で見応え抜群

 

■総評(BAD)

・前作に比べストーリーはかなり大味、続編では有るが映画のジャンルは別物な印象

・エンディングのシーンが余計でダレる

・台詞が聞き取りづらいシーンが多い

 

 

上林(鈴木亮平)の圧倒的な存在感

前作は大上(役所広司)の存在感の強さを中心に成り立っている作品であった。

 

それだけに続編である今作は「大上が居ない」事が不安材料であったが、

上林(鈴木亮平)のとんでもなく強烈なキャラクター性のおかげで、

何ら問題ないどころか想像以上のぶっ飛びっぷりを楽しむ事が出来た。

 

上林は何の信念も目的もなく、

ただ荒れ狂うばかりで手を付けられない狼のような存在。

変に正義感とか目的を語ったりしないので、ある意味純粋で真っすぐ。

 

バットマンのジョーカーに近いようなキャラクター性だと感じた。

 

他の出演陣も実力派ばかりで、

会話やにらみ合い等の一つ一つのシーンが面白い。

 

大上のやり方を受け継いだ日岡松坂桃李)も勿論凄く良かった。

チンピラ刑事っぷりがすっかり馴染んではいるが、

まだまだやり方が下手くそだしトラブルが起こると慌ててしまう。

 

しかし目的の為には手段を選ばない過激さがやはり魅力的。

 

とは言え、

やはり今作は良くも悪くも上林(鈴木亮平)のインパクトが強すぎて、

ちょっと他のキャラが霞んでしまうなと思った。

 

レベルアップした残虐性

前作も大作邦画にしては珍しい容赦のなさだったが、本作はそれ以上。

 

上林のとんでもない残虐性を真正面から描いているので、

暴力やグロ描写が苦手な人にはちょっとおススメ出来ない。

 

が、その容赦のなさのおかげで、全編を通して緊張感抜群。

 

アクションシーンの痛々しい感じも見応え抜群。

 

悪い点も目立つ

ただ、終盤の取ってつけたようなカーチェイスシーンはちょっと残念だった。

邦画にしては頑張っているんだろうけど……と思ってしまうので、

いっその事カーチェイスは無くて良かったのでは。

 

邦画あるあるで、台詞が聞き取りづらいシーンが多いのも気になった。

特に大雨のシーンは声がこもっていて酷い。

 

広島生まれ広島育ちの僕でそう感じたので、

広島弁を聞きなれていない人はさらにしんどいのでは、と思う。

 

ヤクザ同士の抗争と、違法な捜査でそれを抑えようとする大上、大上と対立する警察上層部…

といったヤクザ物・警察物としてのドラマ性が高かった前作に比べると、

今回はだいぶ展開が大雑把だなとも感じた。

 

終盤の警察、日岡、ヤクザ、マスコミ入り乱れる展開は、

ちょっと急展開過ぎて雑な印象が強かった。

 

今回は映画オリジナルのストーリーなので、

白石和彌監督の趣味趣向が(良くも悪くも)色濃く出ていたという印象。

映画のジャンルとしては、一作目と二作目で似て非なる物だと思う。

 

それと、ラストシーン。あれは本当に余計だった。

それまでの空気感ぶち壊しで、一気に作品への没入度が下がってしまった……。

 

とは言え、全体で見れば、悪い点を吹き飛ばす圧倒的な魅力が有った。

だるい作品が多い邦画に飽きている人は、ぜひともこの作品を見るべき!