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【映画感想】キングスマン:ファーストエージェント【ネタバレ有り】

■総評(GOOD)

・ドラマ性が高くストーリーが面白い

・先の展開が読めないドキドキワクワク感

・戦争シーンの描写に力が入っていて、戦争映画としても質が高い

キングスマンとは別物として見れば楽しめる

 

■総評(BAD)

・スパイっぽさはほとんど無い

キングスマンシリーズとして期待してみると肩透かし感が有る

・アクションシーンが少なく、また前二作と比べると地味

 

 

ドラマ性の高さと戦争映画としての面白さ

映画自体は凄く、楽しめた。

 

戦争に至る経緯を丁寧に描写しており、

泥々とした戦争シーンもかなりの力の入りっぷりで、

予想以上に「戦争映画」としての質が高かった。

 

ただ、戦争に至るまでの話が長いので、

そこを「ダルい」と感じてしまう人も居そうだな、とも思う。

 

ラスプーチンとのバトルは面白かったが、

それも過去作のアクションと比べるとちょっと物足りない。

 

しかし、親の反対を無視して戦場に出た息子が、

味方に勘違いされて射殺されてしまうシーンの衝撃は凄かった。

 

ここは「キングスマン」らしい、

「うわぁ、そういう展開になるかあ!」という驚きが有って良かった。

そこまでの経緯を丁寧に丁寧に描いていただけに、非常に印象的。

 

キングスマンとしては……

というわけで映画自体は良かったが、

キングスマンとしては色々と不満の残る内容であった。

 

中盤まで中々アクションシーンが無くフラストレーションが溜まる展開が続き、

キングスマン」としてはどうなんだ、と感じながら見ていた。

 

また、キングスマンを象徴する「紳士」の要素がほとんど無かったのも残念。

 

映画としてはゴールデン・サークルより本作の方が好きでは有るが、

ゴールデン・サークルのアクションシーンは映画史に残る凄さだったので、

どうしてもアクションシーンの地味さにはガッカリしてしまう。

 

息子が死んだ後、父親が一旦はアルコール中毒になって落ちぶれてしまうも、

世界の危機の為にスパイ組織として立ち上がる展開は熱かったが、

しかし先に言ったようにアクションシーンが地味なので盛り上がりに欠ける。

 

正直、息子が死ぬまでの「戦争映画」としての面白さがピークだったように思う。

 

敵組織のトップに全く魅力がなかったのも残念。

 

ずっと顔を隠していて最終的に「主人公の友人の部下が黒幕だった!」となるのだが、

それまでちょい役でしか出てこないので「へぇ、そう。」としか思えず。

 

これならこれまでの二作の敵のように、

最初から顔出ししてキャラクター性をしっかり描写した方が良かったと思う。

 

ゴールデン・サークルでも

敵の親玉とは別に味方組織に裏切り者が居てそいつがラスボスで……

という展開だったが、あれも変に話を捻ったせいで乗り切れなかった。

 

もっとシンプルに、

1作めのように分かりやすく「倒すべき悪役」を映画居てほしいな、と思う。

 

と、「キングスマン」としては色々文句を言ってしまったが、

独立した一つの作品としてみれば間違いなく傑作で、楽しめる映画だった。