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映画の感想・解説やゲームの話

【映画感想】シン・ウルトラマン【ネタバレ有り】

■総評(GOOD)

・CGのクオリティが高く、かつ特撮っぽさもしっかり有る

・アクションシーンの見ごたえが抜群

・序盤のワクワクする展開が最高

・気合の入ってるシーンのテンポの良さ、BGMのタイミングなどが完璧

 

■総評(BAD)

・かなり駆け足、と思ったら間延びしたりと映画全体のテンポが悪い

・エピソードを詰め込みすぎで一つ一つが薄く感じる

長澤まさみにスポットを当てすぎていてくどい

・ラストの展開が物足りない

 

 

現代に蘇ったウルトラマン

自分自身はウルトラマンはリアルタイム世代ではなく、

再放送か何かを子供の頃に見ていただけであまり細かい内容は覚えていない。

 

が、それでも記憶に残っているBGMの使い方や、

CGを使いつつも絶妙に特撮っぽい演出に懐かしさと新しさの両方を感じる事が出来た。

 

シン・ゴジラでもそうだったが、

オリジナルのBGMと鷺巣詩郎の描き下ろし曲のバランスが素晴らしい。

 

特に、予告編でも使われていた、

メフィラスとの決戦で流れる鷺巣詩郎作曲のBGMの熱さが印象的。

 

CGのクオリティもかなり高く、

怪獣とのプロレスやメフィラスとの空中バトルは違和感なく見ることが出来た。

 

庵野秀明が編集しているんだろうな、

と思える気合の入ったシーンのテンポの良さ、音楽の使い方はまさに完璧。

 

映画全体は不満も多い

要所要所のシーンはテンポもよく最高なのだが、映画全体を通してみると粗も目立った。

 

序盤はかなり駆け足だなーと感じ、

中盤は正直言って結構中だるみを感じ、

終盤はもう見ていて退屈だった。

 

ウルトラマン登場のシーンはもっと引っ張っても良かったのでは?

 

最終決戦は、かなり賛否両論だと思う。個人的にはだいぶ否に偏る。

 

ゼットンゾフィーが放つ生物兵器(本当にほぼ機械)としたので、

機械的に攻撃してくる超巨大な相手にウルトラマンがチクチク攻撃するだけなので全く爽快感がない。

 

人類の叡智とウルトラマンが協力して勝利するという流れ自体は良いのだが、

映画のラストがあれでは盛り上がりに欠けて退屈に感じてしまった。

 

また、ザラブとメフィラスは一つのシーンにまとめて欲しかった。

「言葉巧みに人類を騙して支配下に置こうとする」

という展開が連続するので中だるみを強く感じた。

 

とは言え、山本耕史演じるメフィラス自体は凄く良いキャラクターだったので、

ウルトラマンvsメフィラスは最高に盛り上がった。

(そして、そこが映画のピークで、ゼットンの一連の流れは退屈だった。)

 

それと、やたらと長澤まさみのシーンが多いのもくどかった。

まず長澤まさみの登場シーンを引っ張りまくった所から始まり、

その後も特に意味もなく長澤まさみのシーンが頻発するのもテンポを悪く感じる一因だったと思う。

 

セクハラめいたシーンも、いかにも時代錯誤な演出で萎えてしまった。

 

良い所と悪い所、両方が目立つ映画

という訳で、目立つ欠点と、素晴らしいシーンの両方が混在する映画だった。

 

恐らくだが、全工程において庵野秀明がこだわり抜いたシン・ゴジラと比べて、

シン・ウルトラマンは複数の人間に作業が分散する事で、

ややまとまりのない作品になったのではないだろうか?

 

シン・仮面ライダーは監督脚本が庵野秀明なので、

もっとまとまりのある映画になる事を期待したい。