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映画の感想・解説やゲームの話

【映画感想】福山市長に1日密着してみた【ネタバレ有り】

■総評(GOOD)

・超強引で馬鹿馬鹿しい展開の連続が気持ち良い

・社会風刺もあって笑える

福山市が税金を出して作っただけあって、地元ネタ満載で地元民としてはニヤニヤ出来る

・映画的な盛り上がりや一捻りもあってしっかり楽しめる

 

■総評(BAD)

・一旦時間を巻き戻してから話を進める演出がちょっと退屈

・POV(主観視点)方式なので仕方ないが、見ていてちょっと酔う

 

 

最高にバカバカしくて痛快な珍作

まずこの作品の前提から話すと、

広島県福山市にあるお城が築城400年になるのを記念して、

税金が投入されて作られた短編映画である。

 

知らない人はまずは予告編を見てほしい。

映画『福山市長に1日密着してみた』予告編 - YouTube

 

これを見れば、この映画がどれだけイカれてるか分かること間違いなし。

 

本編もおおよそこの通りの内容で、

そこから映画的な盛り上がりと一捻りがあって、凄く楽しめた。

 

ディレクターが市長に成り代わって色々な騒動を巻き起こすのだが、

同行するご当地アイドルもなんと偽物だった!

というオチ。

 

アイドル(偽)はーディションに落ちた後アイドル(本物)のストーカーに。

成りすますためにアイドル(本物)を拉致監禁

 

「マネージャーは新型コロナ陽性で来れなくなった」と嘘を付き、

市長と同行して築城400年イベントに自分が出演しようとしていたのだ!

 

普通なら絶対にバレる無茶な行為なのだが、

市長側も入れ替わってるので成功しかけたのだ。

 

終盤で慌てたマネージャーが駆けつけてきて、

「うちのアイドルが急遽来れなくて申し訳ございません!」と発言し、

みんなが「え?え?」となってるシーンの不穏さが凄く良かった。

 

そこから「あの野郎騙しやがって!」と激怒する市長(偽)だが、

「お前が言うな!!!!」と誰もが思う突っ込みどころしかないセリフをぶちかます

 

そこからハンマーを持ったアイドル(偽)と、

福山城に展示してあった日本刀を盗んだ市長(偽)のバトルが始まり、

馬鹿馬鹿しいを通り越した壮絶な展開に爆笑出来た。

 

「お前自分のところの市長の顔やどんな仕事してるか知ってるか?知らねぇだろ?」

と社会風刺めいたセリフも多数あるのも面白かった。

それを市の税金で作ってるのだから、監督の肝っ玉っぷりも凄い。

 

ご当地映画だからこその楽しみ

地元ネタも色々あり、

東京から来た市長(偽)が「フジグランもよく行かれるんですか?」と聞かれて、

「フ、フジ……?グラン……?(なんだそれは……)もみじ饅頭をよく買いに行きますよ!」

と慌てふためいてるあたりで特に笑った。

 

僕自身、広島生まれ広島育ちで一時期神奈川に住んでいたので、

フジやフタバ図書が向こうには無いことにカルチャーショックを受けた。

こういったネタはずっと地元で育っていると思いつかないので面白い。

 

限定上映された福山駅前シネマモードの周辺がロケ地なので、

そのまま聖地巡り出来るのも楽しかった。

 

主演俳優の大迫茂生という人物

この映画とは直接関係ない話だが、

この映画の主演である大迫茂生は、知る人ぞ知る人気俳優である。

 

「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」というドラマ・映画シリーズでの印象が強烈で、

この作品でも映像制作会社のディレクターとして出演している。

 

コワすぎ!シリーズの人物像とほぼ同じで、作品のノリも共通しているので、

コワすぎ!のファンであれば是非とも見ておきたい映画だと思う。

 

逆に、この映画で知った人は、コワすぎ!シリーズをぜひ見て欲しい。

コワすぎ!シリーズの監督である白石晃士は「貞子vs伽椰子」等の傑作を手掛けているぞ!

 

僕はたまたま広島県民で福山に親戚が多いので、

正月に親戚めぐりするついでに見れて非常に運が良かった。