舞台や1961版の映画は未見で、ストーリーを知らない状態で見た感想です。
■総評(GOOD)
・ダイナミックなダンスと音楽が見ていて非常に気持ち良い
・スラム街を舞台にしたギャング団同士の抗争のドラマは面白い
■総評(BAD)
・主人公とヒロインに全く感情移入できず、恋愛要素が鬱陶しい
・ストーリー的にも、主人公とヒロインの存在が邪魔に感じる
・後半はミュージカルシーンがほぼなく、ミュージカルの使いどころもおかしい
中盤までは凄く面白い
本作のストーリーは軸が二つあり、
再開発されるスラム街で行き場を失う二つのギャング団(ジェッツ、シャーク)の抗争
と
ジェッツの元リーダーである主人公とシャークのリーダーの妹であるヒロインの恋物語
が展開される。
前者の「行き場のない持たざる者同士」であるギャング団がぶつかり合う話は面白かったが、
主人公とヒロインの恋愛要素が非常に邪魔。
主人公とヒロインが居なくても成り立つストーリーなので、
恋愛要素が出てくるたびに
「早くギャング団の方の話に戻ってくれないかなあ」
と思いながら見ていた。
ミュージカルシーンも中盤までで、後半からはほぼ無くなるのも残念。
終盤はダンスもなく暗く重く陰鬱なしーんが続き、
前半と後半で全く別の映画になっていた。
最大の見どころであるギャングの抗争シーンをミュージカルでなく普通に描いたと思ったら、
シャークのリーダーが死亡した後に、
その妹と彼女が言い争いをするシーンが唐突にミュージカルになるのには思わず笑ってしまった。
その口喧嘩がこの映画の最後のミュージカルシーンとなるので、
最初から普通の映画として作った方が良かったのでは?とまで感じた。
主人公とヒロインに魅力がない
この映画はたった2日間の出来事を描いた内容で、
主人公とヒロインは出会って1日しか経っていないのが致命的に悪かったと思う。
出会ってちょっと話をしただけで相思相愛になりキスして、
「俺には君しかいない!」「私にはあなたしかいない!」と熱く愛し合う。
いくらなんでも展開が急すぎて、二人の気持ちの変化についていけない。
主人公は友人(ジェッツのリーダー)をヒロインの兄(シャークのリーダー)に殺されたことでカッとなってヒロインの兄を殺してしまうが、
ヒロインはそれを知っても主人公への愛ばかり語る。
殺された兄への感情が全く見えないのがもはやホラーだった。
主人公も主人公で「ダンスには行かない」と言っていたのに結局来たり、
抗争を止めるために来たのについカっとなって人を殺したりと、
その場その場で感情的な行動しかしないので「ロクな人間じゃねぇな」としか思えなかった。
不良なりに不良らしい信念を貫き通していた主人公友人の方がよっぽど魅力的だった。
ヒロインに関しても、ヒロイン兄の彼女の方が断然魅力的。
なので、ギャング団同士のリーダーをそれぞれ主人公にしていれば良かったのでは?
主人公とヒロイン、居ない方が良くない?
と感じてしまった。これでは映画を楽しむのは難しい。
こういったストーリーやキャラクターの不満点に関しては、
そもそもオリジナルの作品が古いせいかもしれないが、
それならそれでせっかくリメイクしたのだから現代的にすれば良かったのでは?
と思う。
ダンスと曲は素晴らしい
文句ばかり書いてしまったが、中盤までの明るく楽しいダンスと音楽は最高だった。
走り回りながらのダイナミックなダンスは圧巻。
だが、それだけに、そういった要素が後半に存在しないのが残念だった……。