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【映画感想】ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol3【ネタバレあり】

■総評

・シリーズ完結に相応しい完成度の高さ

・相変わらず素晴らしい音楽のセンスの良さ

・全てのキャラクターに見せ場がある

MCU全作品の中でも屈指の出来のアクション

ヴィランの気持ち良いクズっぷり

・文字通り「笑い有り、涙有り」のストーリー

 

 

完璧なシリーズ三部作

シリーズ物はどうしても出来がイマイチな時があったり、

終わり方に納得出来ない事があったりするもの。

 

しかし、GotGは1~3作目まで、全てが最高。

 

シリーズ通してこの満足度の高さは、

個人的にはバック・トゥ・ザ・フューチャー以来。

 

最終作である本作も、いつも通り、笑い有り涙ありの傑作。

 

全メンバーにしっかり見せ場が有り、それぞれの成長が描かれて、

現メンバーが解散しつつも次世代のメンバーにもワクワク出来る。

 

文句の付け所がない、最高の映画だった。

 

オープニングでレディオヘッドのクリープが流れた時点で、

もうテンションマックスで涙が流れそうになってしまった。

 

あ、一つ、このシリーズで残念な所がある。

 

日本のディズニーが2作目を

原題の

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:Vol2」

から

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」

なんて名前にしたことだ。

 

そのせいで、

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:Vol3

という訳が分からない並びになってしまった。

 

日本の映画会社はこういうヘンテコな改題をする事が目立つので、

本当に心の底から猛省して欲しい。

 

それぞれの成長

キャラクターへの愛着のわき方が半端ないのがこのシリーズだが、

キャラそれぞれが成長しているのがしっかり感じられるのが本当に良かった。

 

スターロードことピーター・クイルは2作目で父親との決着をつけたので、

本作は実質的にロケットが主人公扱いであった。

 

とは言え、色々な経験を経てピーターがラストで地球に戻り、

祖父と食事をするシーンは非常に感慨深いものがあった。

 

ガモーラはエンドゲームで死亡し、

別の時間軸のガモーラとして復活したわけだが、

それも「ガーディアンズの事を認めつつ、ラベジャーズを新しい家族として歩んでいく」

という距離感が凄く良い。

 

ドラッグスは父親としての側面が強調されてキャラクターに深みが増した。

 

ロケットも過去のトラウマを乗り越え、

自分がラクーン(アライグマ)で有ることを認め「ロケット・ラクーン」と名乗ったシーンは感涙モノ。

 

グルートは最後に「アイムグルート」ではなく普通の言葉で喋ったが、

他のメンバーは特に反応をしていなかったので、

あれは「この映画を見ている観客がグルートの言葉を理解できるようになった」

という最高に素敵な演出だったと思う。

 

クラグリンは基地がピンチに陥った時に、

兄であるヨンドゥの幻影を見て覚醒したが、あのシーンも最高に胸熱。

宇宙犬コスモとの痴話喧嘩のようなやりとりも面白い。

 

マンティスは2では一歩引いてる立ち位置であまり自分を表に出さない感じだったが、

ホリデー・スペシャルを経てピーターと異母兄弟としての立ち位置を確立し、

他のメンバーと口汚く言い争いをしているのが微笑ましい。

 

そしてなにより、一番成長したのがネビュラだと思う。

すっかりガーディアンズの一員として馴染んでおり、

それどころかもはやチームをまとめる副船長のようなポジション。

 

他のメンバーが言い争いをしていると「友達を助けたいんだけど!?」と怒り、

ロケットが一命をとりとめたのを知ると涙し、

誰よりもメンバーを大事に思っているのでは?と感じるほどに変化していた。

 

メンバーそれぞれが成長し、変化し、新たな関係性を築いているのが、

10年かけて完結したシリーズの時間の経過を感じられて本当に感動的。

 

新キャラクターであるアダム・ウォーロックも良い味を出していた。

強大な力を持っているが人工的に作られたゆえ精神的に未熟だったが、

母親を殺されたり、ペットを飼った経験等で少しずつ成長。

 

最後にピーター・クイルを助けたあと、

ぎこちなくメンバーの輪の中に入ろうとするシーンは滅茶苦茶笑えた。

 

「そもそもお前がロケットを瀕死の重傷に追い込んだのがきっかけだぞ!」

と思うが、それを許すドラッグス達の懐の広さよ。

 

見応え抜群のアクション

このシリーズはそこまでアクションが売りではなかったが、

今回のアクションは「MCUシリーズでも一番じゃない?」と思えるほど凄かった。

 

冒頭、アダム・ウォーロックが多暴れるするシーンは、

まさにスーパーヒーロー映画!という醍醐味が詰まったスーパーアクション。

 

ジェームズ・ガンはマーベルからDCに移籍してスーパーマンの映画をやる予定なので、

ジェームズ・ガン版スーパーマンのアクションへの期待が急上昇した。

 

そして何より凄かったのが、

ラストで敵基地にカチコミかけるシーンでの超長回し壮絶アクション。

 

グルートのえげつない触手攻撃はこれまでもあったが、

サイボーグである事を生かしたネビュラのホラー映画めいたバキバキなアクション、

残忍な暗殺者である事を強調したガモーラの攻撃等、

ジェームズ・ガンらしいエグさやケレン味がたっぷりで超超超最高だった。

 

この2つのアクションシーンはMCUは勿論、映画史にも残る素晴らしいシーンだった。

 

ハイ・エボリューショナリーの気持ちいいクズっぷり

今回のヴィランであるハイエボさん、能力は高いんだろうが凄く小物で本当にクズ。

 

自身の持つ高い知能で完璧な生物を生み出したい。

でも、自分が作った生物が自分より優秀な事を認められない。

 

だから容赦なく切り捨てるし、プライドを傷つけられたら過剰に攻撃的になる。

 

単純な驚異としてはロナンやエゴに比べるとだいぶ格落ちするヴィランではあったが、

あまりにもクソ野郎すぎてキャラクターとして非常に魅力的。

 

それを最後にガーディアンズのメンバー全員でボコボコにするのが最高に気持ち良かった。

 

ありがとうジェームズ・ガン!!

最初から最後まで、あらゆるシーンで「こういうのが見たかったんだよ!!」の連続。

他にも沢山書きたいこと、語りたいことが詰まっていた。

(ので、思いついたら書き足すかも。)

 

これでもうガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが終わりというのは寂しいが、

大々大満足の内容で、これ以上ない完結編だった。