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映画の感想・解説やゲームの話

【映画感想】ザ・フラッシュ【ネタバレ有り】

■総評(GOOD)

・笑い有り、涙有り、派手なアクション有りの見どころしかない内容

・スーパーヒーローでありながら人間味のある主人公の魅力

・詰め込みまくった内容でありながら、1本の映画としてキレイにまとまっている

 

■総評(BAD)

・今までのDC映画に詳しくないと分からないネタ多数

・スーパーヒーロー映画というよりは、タイムスリップSF物の要素が強い

 

 

間違いなくDC史上最高傑作

正直、マーベル・シネマティック・ユニバースに比べて、

DCのシリーズはだいぶ差をつけられていた。

 

しかし、最近のMCUがイマイチな中で、

このザ・フラッシュはDC史上では間違いなく最高傑作、

これまでのあらゆるヒーロー映画の中でもトップクラスの面白さであった。

 

コメディとシリアス、アクションシーンのバランスが抜群に良くて、

大量の情報を詰め込んだ内容を144分できれいに収めたのは驚異的。

 

また、これまでのDC映画は肉体的だけでなく精神的にも超人が多く、

あまり感情移入できないのが難点だった。

 

しかしフラッシュ(バリー・アレン)はかなり一般人の感性に近いので、

同じ立場になった気持ちで見れるのが良かった。

 

SF物としての面白さ

ぶっちゃけ結構なバッド・エンドで、

フラッシュが入り込んだ世界ではヴィランであるゾッド将軍を倒せず、

スーパーガールもマイケル・キートンバットマンも死亡している。

 

当初の目的であった「母親の死を無かった事にする」も諦めたのだ。

正直、これはスーパーヒーロー映画としてはモヤモヤする部分もあるかもしれない。

 

ただ、タイムスリップSF作品としてはこのオチは正しいし、

「大切なものを失ったからこそヒーローになり得た」というオリジンを否定出来ないのは、

ある意味ヒーロー映画としては正しい。

 

タイムスリップ物では「過去を変えたことによる様々な矛盾が発生する」のが面白い所であるが、

「何かを守るのがヒーローなのに、大切な人を失ったからこそヒーローになれた」

という大いなる矛盾も存在していて、

どちらも「あるあるネタ」の矛盾が両立している構図が非常に面白かった。

 

歴代バットマンと歴代スーパーマン

「ザ・フラッシュ」というタイトルではあるが、今回はバットマン映画としても非常に良かった。

 

序盤でベン・アフレックバットマンがゴリラじみた大暴れを見せた後、

マイケル・キートンバットマンが渋い活躍をするのが本当に最高。

 

マイケル・キートンバットマンは死亡してしまったが、

しかし、老いて目標を見失っていた所で一緒に戦う仲間を得て、

戦いの中で満足して死んでいく姿はグっときた。

 

その分、スーパーガールは雑に退場した感じでちょっと残念。

すごく良い女優で印象的だったので、再登場に期待したい。

 

そして大きなサプライズが2つ。

 

幻のニコラス・ケイジスーパーマンと、

ジョージ・クルーニーバットマンが登場したのだ!!

 

ニコラス・ケイジ版スーパーマンはビジュアルまで公表されていたものの制作中止に。

ジョージ・クルーニーバットマンは大不評で黒歴史に。

 

この二人が再びスクリーンで日の目を見る時が来たのにはひっくり返りそうになった。

 

マルチバースの使い方として最高だと思う。

 

ただ、ジョージ・クルーニーは年齢的にもサプライズ&オチ担当で、

今後の本格的な出番は無さそうかな?という気はする。

 

アクアマン(ジェイソン・モモア)がエンドロール後のオマケ映像で出てきたのは、

「大人の事情で多くの俳優が変わるけど、ジェイソン・モモアはとりあえず続投」

という意味合いだろう。

 

そういう点で、「今後DCは仕切り直しするよ」という事を上手く映画で表現しており、

本当にあらゆる面で完成度が高い作品になっていた。