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【映画感想】ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE【ネタバレ有り】

■総評(GOOD)

・思わず息を呑むアクションの連続

・ギャグセンスもキレキレで笑える

・いつも通り、全力疾走するトム・クルーズを見るだけでも満足できる

 

■総評(BAD)

・チーム感が薄い

・異なる思惑で動く人物・組織が多く、把握するのが大変

・悪役にあまり魅力がない(後編の内容次第では有るが)

 

 

とにかく凄くてトム・クルーズが格好良い映画

いつも通りと言ってしまえばそれまでだが、

いつも通りで、そして期待以上に楽しませてくれる映画だった。

 

とにかくトム・クルーズが格好良くて、

凄まじいアクションの連続、二転三転する展開、笑えるシーンも有り、

これぞエンターテインメント!と思える。

 

近年のシリーズのど派手な演出に比べると絵面としてはやや地味で、

「スパイ映画」としての要素が強調されているかな?とも感じた。

 

とはいえ、ぱっと見の絵面が地味に思えるだけで、

工夫満載のアクションの連続で、常に緊張感を持って最後まで楽しめた。

 

チーム感の薄さ

今回、基本的にイーサンのチームはシリーズおなじみのルーサーとベンジーのみ。

 

この3人がしっかり協力しているシーンは少なく、

後半はルーサーが的に見つからないよう姿を消してしまう。

 

今回登場の泥棒グレースは敵とも味方とも言えない立ち位置が続くし、

イルサもゲストとしてチームに参加している程度の印象。

 

そのため、「スペシャルな人員を揃えたチームで事件解決に挑む」という感覚が薄く、

こはちょっと残念な点であった。

 

悪役の存在感の薄さ

また、悪役にあまり存在感がなかったのも気になった。

 

基本的には暴走した(と思われる)AIが黒幕であり、

実行犯であるガブリエルは「AIに命令されている駒」のような印象。

 

しかし本作は二部作である。

本作ではAIが暴走した原因や、ガブリエルの目的もイマイチ不明なままなので、

後編を見れば悪役に対する印象は変わるかもしれない。

 

が、本作だけ見た印象としては、ちょっと物足りなさを感じたのが正直な感想。

 

一応「ガブリエルはIMFに入る前のイーサンと因縁が有る」という要素があるのだが、

個人的にはこれが余計なノイズにしかなっておらず、

ストーリーへの影響もあまり無いように思えた。

 

ガブリエルと共闘する暗殺者パリスは中々に印象的ではあったが、

台詞がほとんどなく出番もそんなに多くないので、もったいなく感じた。

(まだ息がある、という描写が有ったので、また出てくるかも?)

 

登場人物多すぎ問題

それと、怒涛のアクションの連続で見るのに体力を使う作品である事に加え、

それぞれ異なる思惑で動く人物が多いので、それを把握するのも大変だった。

 

イーサンチーム、IMF、グレース、武器仲買人、IMFとは別の米組織、

AI、ガブリエル……

 

といった面々がそれぞれの事情で奔走する。

 

もうちょっと全体の構図をスッキリさせて欲しかったが、

スパイ映画としての魅力もしっかり詰まっている、とも言える。

 

なんにせよ、今回起きた事件がどう収束するのか、

後編を見なければ最終的な感想を言うのは難しい。

 

最近はこうやって複数作にわたって描かれる映画が増えている事自体が、

マイナス要素であると思ってしまうのも正直なところである……。