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【感想】ファイナルファンタジー7リメイク【ネタバレあり】

■総評(GOOD)

・アクションとコマンド式を融合させたバトルシステム

・現代のグラフィックで再現されたミッドガルの雰囲気

 

■総評(BAD)

・カメラワークが悪く、見づらいシーンが多い

・原作を知っていると展開が遅すぎてダルい

・原作未プレイの人は置いてけぼりになりそうなストーリー

・全体的にBGMのアレンジがゴチャゴチャしすぎてうるさい

・曲数が多すぎて耳に残らない

・いくらなんでもムービーが多すぎる

・(分かってはいても残念な)俺たちの戦いはこれからだEND

 

  

やや難易度調整が歪だが素晴らしいバトルシステム

オリジナルのFF7の戦闘は、正直言って面白い物ではなかった。

マテリアシステムも大雑把で、結構適当にやってても困ることなく進める難易度だった。

 

リメイク版は「アクション+コマンド式」を見事に実現していて、

ATBゲージを溜めながらアクションをこなし、

ゲージが溜まったらコマンドを選んで発動するという方式がかなりハマっていた。

 

敵によっては雑魚戦でもバーストゲージを溜めて相手をバーストさせないと中々倒しきれないので、

ちゃんと考えながら戦わないと駄目な難易度になっているのが良かった。

 

ノーマルでストーリーを攻略するだけならあまり意識する必要はなかったが、

敵に合わせてマテリアの組み合わせを調整する事で大きく難易度が変化する仕組みも良い。

 

ただ、(ノーマルに限って言えば)ボス戦でゲームオーバーになる事は無く、

雑魚が複数出てくる場面の方が難しいバランスになっているのはイマイチだった。

 

ボス戦は漫然と回復を繰り返しながら戦えば勝ててしまうパターンが目立った。

 

また、ボス戦は、

定量ダメージを与える→イベントシーンが挿入される

を繰り返すので、その間に自分と敵の位置関係が変わっていたり、

発動したコマンドがキャンセルされたりで物凄くストレスを感じた。

 

FF15もそうだったが、

「一つ一つのシステムや素材は良いのに、それらが組み合わさると歪な構造になってしまう」

というのが最近のスクウェア作品の悪い所だと思う。

 

極悪なカメラワーク

これは本当に酷かった。

ミッドガルというゴチャゴチャした狭い空間が舞台なのである程度は仕方ないとは思うが、

とにかくカメラワークが悪くて非常に見づらかった。

 

敵をロックする仕組みは有るが、

それをすると自分では右スティックでの視点操作が出来なくなるので、

勝手に思わぬ方向にカメラが動くのでイライラする。

 

と言ってロックせずにプレイすると、それはそれで勝手にターゲットが移ったり、

どの敵を狙っていたのか分からなくなるのでやっぱりイライラする。

 

このあたりは、スクウェアのアクション作品に対するノウハウのなさが露呈していたように感じる。

 

中途半端なストーリー

1本のゲームとして見た時、これは本当に駄目だと思った。

 

原作ゲームが大好きな僕からすると、

あまりにも展開が遅すぎて、

やたらと遠回りさせられるのにイライライライラしながらプレイしていた。

 

かと言って原作を知らない人からすると、

セフィロスって誰なんだよ」と思いながらプレイして、

セフィロスって結局何なんだよ!」と思ったままゲームが終わってしまうだろう。

 

ゲーム内で言えばバレットはセフィロスの事を全然知らないので、

その状態のまま(今作では無理やりラスボスとして出てくる)セフィロスと戦うのは非常にシュールだった。

 

ザックスも何の説明もなく出てくるので、

これも原作未プレイの人からすると全くもって意味不明だと思う。

(原作やFFCCをやっていても、今回のザックスの扱いは意味不明なのだが。)

 

どうもセフィロスやエアリスは未来を知っているような素振りを見せていて、

「運命の番人」とやらは原作のストーリー通りになるよう人を動かしているという存在だ。

その「運命の番人」を撃破したので、エアリスの言う通り「未来は白紙」になるのだろう。

 

こういったネタは「ちゃんとゲーム1本でストーリーを最後まで終わらす」か、

最低限でも「完結まであと何本で、何年かかる」というのを提示してこそ成り立つ内容だと思う。

 

このストーリーでゲームが発売して3ヶ月経った今でも、

「全部で何本になるか」「次回作がいつ出るか」が全く分からない、

というのは本当に酷い。

 

良くも悪くも雰囲気ゲー

現代のグラフィックで再現されたミッドガルを旅するのは確かに楽しかった。

 

ただ、ミッドガルを自由に行き来して楽しめるというわけではなく、

原作の展開に沿って、その中で無駄に遠回りさせられる、という作りがほとんど。

 

サブクエストにしてもストーリー性の有る物は少なく、

また、サブクエストをやる事で普通なら行かない場所に行くという事もない。

ただただ同じ場所を行ったり来たりするだけだ。

 

「リメイクでは拡張されたミッドガルを楽しめるだろう」と期待していたが、

その期待は空振りに終わってしまった。

 

また、ロード時間をごまかすためだと思うが、

やたらと狭い道をダラダラ移動するシーンや、

強制的にゆっくり歩かないと駄目なシーンが多いのもイライラした。

 

それなら無駄に操作させず、素直にロード時間を挟んだほうが良かったと思う。

 

ムービーシーンもとにかく多いし、

プレイ時間のうち1/3はムービーを見ているか、無駄な移動シーンだったような気がする。

 

BGMはあまり好みではなかった

リメイクされたBGMはやたらとゴテゴテしたアレンジになっていて、

個人的には好みではない物が多かった。

 

唯一テンションが上ったのは、

ジェノバ戦で第三形態になったところで原作曲に近いアレンジが流れた所だ。

 

大好きなクレイジーモーターサイクル(最後のバイクのミニゲーのBGM)は、

あまりに編曲されすぎ、ロック調のうるさすぎるアレンジで最悪だった。

 

その他、今回用意された新規曲はほとんど耳に残らなかった。

 

というかそもそも無駄に曲数が多すぎて、多くの曲が印象に残らない。

やはりゲームでは「ある程度同じ曲を使い回す事で印象に残る」という事を学ぶことができた。

 

エリアが変わるたび、ボスが変わるたびに曲が変わるのはあまり良くないと思う。

 

かなり厳しい事ばかり書いたが……

と、かなり低い評価になりそうな事ばかり書いたが、

なんだかんだで最後まで楽しんでプレイしたし、良いゲームだったとは思う。

 

悪い箇所が凄く目立つけど、それでも楽しんで遊べる魅力は間違いなく有った。

BGMに関しては完全に個人の好みであり、良いアレンジだと思う人も居るだろう。

 

次回作でカメラワークとボス戦で何度もイベントシーンが入るのを改善して、

ストーリー性の有るサブクエストや強敵と戦うサブクエストなんかが有れば、

相当素晴らしいゲームになるのでは?と思う。

 

ストーリーに関しては……1作目でここまで大胆に改変してしまった以上、

「このあとの展開は原作通り」でも「原作とは異なるストーリー」になっても、

どちらにしても大きな批判が出る茨の道を選んでしまったな、と思う。

 

「リメイク」というよりは「リブート」「続編」と言ったほうが近い。

 

エヴァンゲリオンが好きな人であれば、

「新劇場版エヴァンゲリオン」みたいな立ち位置なのが「FF7R」と言えば分かりやすいだろう。

 

そう割り切れば、今後は原作とは異なるストーリーにした方が楽しめるかもしれない。

でもそれなら「リメイク」という名前をつけるなよ、と思ってしまうが……。