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映画の感想・解説やゲームの話

【ゲーム感想】ゴースト・オブ・ツシマ【ややネタバレ有】

■総評(GOOD)

・日本らしさを程よく誇張した世界観

・リアルさにこだわりつつ、ゲームとして遊びやすいように調整されている

・魅力的なキャラクターとストーリー

・気持ち良い剣戟アクション

 

■総評(BAD)

・サブクエストがやや単調

・敵のパターンが少なく後半はアクションも単調になりがち

・シチュエーションの変化も乏しいので後半は飽きやすい

・使える技や武器が増えると、操作性の悪さが若干気になる

 

 

日本が舞台のオープンワールドとしては間違いなく世界一

 

海外製のゲームであるが、

黒澤明を大好きなスタッフが徹底的に考証を練ったというだけあり、

日本人が遊んでも違和感なく遊べるデザインと雰囲気の良さが素晴らしい。

 

勿論ゲーム的に誇張されている部分はあるが、

やり過ぎておらず、あくまでゲームとして面白くする為にそうしている、という感じ。

 

キャラクターも「本当に外国で作られた作品なの?」と思うほどに日本的で、

メインキャラクター達のサブストーリーはどれも非常に魅力的。

 

メインストーリーも素晴らしく、

ゲーム的にはやや単調さを感じてくる部分もあるが、

要所要所でストーリーに盛り上がりが有って先が気になるようになっている。

 

リアルさとゲームとしての遊びやすさ

史実をベースに出来るだけリアルな世界観を描いているゲームではあるが、

ゲーム的な遊びやすさに細かい配慮が行き届いているのが凄く良かった。

 

例えば素材アイテムは馬に乗っている状態でもボタン一つで即座に収集でき、

ある程度細い木はすり抜けて移動出来るなど、

「リアルさにこだわるあまりゲーム性を犠牲にする」といった事を避けている。

 

例えば、ホライゾンゼロドーンは素材アイテムを取るのに一々「収集するモーション」が入ったり、

高いアクション性の割に行けそうで行けなくて遠回りになる箇所が多かったりしたが、

ツシマはそういった煩わしさを徹底的に排除していると感じた。

 

アクションゲームとしては長所と短所両方が目立つ

 

少し前にSEKIROという剣戟アクションとして最高峰と言えるアクションゲームが出たが、

こちらは基本的に1対1を前提にしたゲームデザインになっていた。

 

ツシマは1対多を楽しめるシステムになっており、

それでいて1対1の決闘にもこだわった作りなのでこちらはこちらで素晴らしい。

 

「侍としての矜持を捨て汚い手を使うようになっていく」というストーリーと

ゲームシステムが見事に融合しているのも良くて、

主人公である仁の葛藤とプレイヤーの心境が重なるので没入感抜群。

 

ただ、SEKIROを始めとした日本製のアクションゲームと比べると、

やや雑さを感じてしまうのも事実。

 

ストーリーが進むと様々な忍具のような武器を使えたり、

必殺技のような物もいくつか出てくるが、

出来る事が多い分どうしても操作性が犠牲になっているように感じた。

 

乱戦の中で咄嗟に数あるアイテムを選んで使うのはかなり難易度が高く、

僕はメインの刀に加え、弓、くないしかほぼ使わなかった。

 

これは「出来るだけ汚い手を使わないように」といった気持ちからではなく、

単純に装備の切り替えやアイテム数の把握が面倒で、殆どのアイテムを使わなかった。

 

また、ゲームが進むにつれて発生する難易度の上昇も、

「敵が固くなって攻撃力も高くなる」だけなのがほとんど

(それに伴いこちらも武器防具を強化するので結局変化を感じづらい)で、

シチュエーションもあまり幅がないので終盤はかなり飽きを感じてしまった。

 

シチュエーションの乏しさに関してはリアルさを重視した世界観とのトレードオフなので、

一概に欠点とは言い難いが、個人的には後半をゲーム的には退屈に感じてしまったのも事実。

 

 SEKIROは結構ぶっ飛んだ何でも有りの世界観で

飽きさせない戦いの連続なのが良かったが、

ああいう手法をツシマでやるのは無理なので本当に難しい所だったと思う。

 

ストーリーとゲームシステムに関して(ややネタバレ有り)

このゲームはストーリーの根幹として

「誉れを守って戦う(侍)」と「民を守るために汚い手も使う(冥人(くろうど))」という相反する思いの葛藤が有る。

 

そして、ストーリー上、最後の最後でとある選択を迫られ、少しだけストーリーが分岐する。

これをやるなら、もっと大胆に「侍」と「冥人」のプレイスタイルの違いで、

ストーリー分岐や使えるアイテムの違いを取り入れて欲しかった。

 

この開発スタジオが作った「インファマス」がそういう作りだっただけになおさらだ。

最後の最後で唐突に選択を迫られるのは、正直、違和感が強かった。

 

「侍」と「冥人」のスタイルの違いで使えるアイテムにも違いが出てくれば、

先に述べた「出来ることが多すぎて操作性が悪くなっている」という問題も解決出来たと思う。

 

と、色々文句のような事を言ったが、

オープンワールドのアクションゲームとして間違いなくゲーム史における超傑作なので、

アクションゲーム好き、オープンワールド好き、侍ゲー好きであれば絶対にオススメ。