IMAXシアターとは、簡単に言うとデカくて音響が良い映画館の事である。
専用のIMAXカメラで撮影された作品であれば、通常より広い範囲で映像が見れる。
詳しくは検索して調べて欲しい。
僕が始めてIMAXシアターに行ったのは、川崎ラゾーナに有る映画館だ。
劇場に入って目撃したスクリーンの大きさ。
それだけでもうテンションが上がった。
ひと目で「これは普通の映画館とは違う」と分かる。
そして、本編開始前の「IMAXを紹介する映像」で度肝を抜かれた。
巨大なスクリーンに映る臨場感抜群の映像。
着ている服が震えるほど迫力満点の音響。
今までに無い凄い体験を出来るぞ、と思った。
その時に見たのが「ダークナイト」だ。
今では映画にIMAXカメラを使用する事が多くなっているが、
当時はアクション映画でIMAXカメラを使った例はほぼ無かった。
まさに「IMAXシアターのために作られた映画」の初体験。
それはもう素晴らしいものだった。
決して家では体験できない。
そう、「映画を観る」でなく「映画を体験する」のだ。
その為には、携帯電話の電源をオフにしておくのが当然だ。
しかし。世の中にはマナーを守らない悪い客が居る。
テレテレテレレレテレレレッ♪
劇場に鳴り響く着信音。
携帯電話を開き、操作を始める悪い客。
音だけではない。
上映中の暗い劇場内では、携帯電話の明るい画面は想像以上に目立つのだ。
他の観客達は音のした方へ怒りを込めた視線を送る。
だが、ここで声を出して悪い客を注意すると、余計に迷惑がかかるだろう。
どうすべきか?あの悪い客を相手にどう対処するのが正解だ?
一触即発のピリピリした空気が場を支配する。
その時だ!
IMAXの巨大なスクリーンが、中央から勢いよく裂ける!!
『携帯の電源をオフにしていないのは誰だーーーーッ!?』
叫び、スクリーンから飛び出してきたのは、そう、忍者だ!!!
忍者が現れた!!!
黒光りする物体が忍者の手から放たれる!
「グワーーーッ!!」
携帯の電源をオフにしていなかった悪い客が、叫び声を上げる!
首にはクナイが深々と突き刺さっている。
忍者が投げたのだ!
再び放たれる黒光りする物体!
「グワーーーッ!!」
悪い客の額に、手裏剣が突き刺さる!
絶命!!!!
マナーを守らない悪い客は死んだ!
「ありがとう!ありがとう!」
他の観客が立ち上がり、忍者に感謝を述べ、拍手を送る。
『すべき事をしたまで』
そう言い残し、忍者は煙のように姿を消す。
裂けたはずのスクリーンは、傷一つ無い綺麗な状態に戻っている。
スタンディングオベーションを送っていた観客も皆席に座り、
何事もなかったかのように映画の続きを鑑賞している。
どこまでが現実で、どこまでが幻だったのか?
マナーを守らない悪い客が座っていたはずの席には誰もおらず、
ただ、電源がオフになった携帯電話が置かれていた。
【完】
サプライズニンジャ・コンなる物が有ることを知り、勢いで書いた。
IMAXの体験談を読みたいと思った人には謝罪します。