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映画の感想・解説やゲームの話

【映画感想】エターナルズ【ネタバレ有り】

■総評(GOOD)

・美しい映像

MCUの世界観が広がる展開

・人間ドラマとして面白い

 

■総評(BAD)

・アクションシーンがありきたり

・能力描写も地味で、エターナルズの強さを感じられない

・敵の魅力が皆無

 

 

良くも悪くもこれまでのMCUとは一味違う

なんとも評価が難しい映画だな、というのが正直な所。

 

後述するが、良い所も悪い所もハッキリしている。

 

個人的には結構楽しめたが、

MCU好きでない人にはオススメしづらいし、

MCU好きでも「これじゃない」と思う人は多そう。

 

という、そんな難しい作品。

 

映像について

まず、ドキュメンタリー番組のようなリアリティのある映像と、

それによる独特な美しさは凄く良かった。

 

ただ、それがスーパーヒーロー映画とマッチしていたかと言うと、

地味に感じてあまり相性は良くなかったなという印象。

 

ラストバトルは中々見応えがあったが、

それ以外は正直、ありきたりな能力とありきたりなアクションシーンで、

ヒーロー映画としての見どころは少なかった。

 

ドラマ性について

壮大な設定とそれに絡む人間ドラマは見応えがあったが、

いかんせん人数が多く薄っぺらい描写だけの人も居たのが残念。

 

最近流行りの色々な要素や多くの人種を取り入れた結果、

作品としては広く浅くなってしまったように感じた。

 

最初から5人くらいにしておけば良かったと思う。

 

能力の地味さと見せ場の薄さも、人数の多さに起因していたのでは。

 

ヒーローとヴィランについて

セレスティアルズとエターナル周りの設定は興味深く、

メインキャラは魅力的だった。

 

しかし、敵となるディヴィアンツは基本的にただの獣。

エターナルズのメンバーを吸収してある程度の知能は持つようになるが、

非常に機械的で「物語の都合上、戦う相手が必要だから用意しました」という感じしかしない。

 

しかも強化されていないディヴィアンツは

ショットガンを連射してれば足止めできる程度なので、

全く驚異を感じられず、

それに伴ってエターナルズの凄さも感じられなかった。

 

セレスティアルズとエターナル周りの設定にしても、

結局は自作自演の身内の小競り合いなので、

壮大な設定の割にやってる事は小さいなあと感じてしまうのもイマイチ。

 

エンドクレジットのオマケ映像が熱い

と、本編に関しては色々と文句が出てしまうが、

エンドクレジット中と後のオマケ映像は今後が超楽しみになる内容。

 

まず、途中のオマケ映像。

なんとサノスの弟エロスが現れ、エロスもまたエターナルズであると名乗る。

 

これは今後のMCUにおいて重要な人物になること間違いなし。

 

また、劇中で脇役として登場していたデインが、

エンドクレジット後の映像で再登場。

 

何やら怪しげな剣を手に取ろうとしたところを何者かに「本当に良いのか?」と確認されるのだが、

この何者かは今度ブレイド役を務めるマハーシャラ・アリである事が判明している。

 

デインは原作では「ブラック・ナイト」と言われるアベンジャーズとも縁の深いヒーローとのことで、

この二人も間違いなく今後のMCUの重要人物となるだろう。

 

というわけで、本編は良い点も悪い点もハッキリしており、

ぶっちゃけて言えば個人的にはMCUの中で一番評価が低い作品かなと思う。

 

とは言え、見どころも多くあり、

エターナルズが今後どうなるか楽しみになったのも事実。

冒頭で言ったように、評価が難しい作品である。

 

追記:エターナルズと広島に投下された原爆

一つ書き忘れていた事が有ったので、追記。

 

この映画に対しての評価・感想とは少しズレてしまうが、

エターナルズの科学者が原爆投下後の広島で人類に対し絶望するシーンが有った。

 

ハリウッドの大作映画で、原爆投下を明確に非難するシーンが有ったのは驚いた。

 

人類が初めて原爆を投下した地でエターナルズの一人が人類を守る事を諦めた、

というシーンを入れたのはハリウッド映画史において大きな意味が有りそう。

(僕が知らないだけで、これまでにも他の作品でもあったかもしれないが。)

 

ただ、さすがに「街が広範囲に焼き払われた」くらいにしか見えない描写では有った。

本気で原爆投下後の惨状を描こうと思うと、

年齢制限が厳しくなってしまうので仕方ない事だとは思う。

 

広島生まれ広島育ちの人間として、

この映画を観て一番心に残ったのはこのシーンだった。