■総評
・容赦なく襲いかかる不幸の連鎖の恐ろしさ
・現実にあった事件、事故を組み込む事で増している生々しさ
・群像劇、人間ドラマとしての面白さ
・ミステリー、サスペンス物としての面白さ
・上記を伴った上でホラー作品として凄く怖い
人間ドラマ、群像劇としての面白さ
2020/7/6時点で、シーズン1の全6話が配信されている。
呪怨は元々オムニバス形式で短編集のような作りであったが、今回はそれを拡大再生産したような方式。
複数の人物の視点、エピソードで描かれ、
それらが一つにまとまっていくのはミステリーやサスペンス物としても面白い。
そこにホラーとしての要素がしっかり絡みついてスリリングに物語が展開していくので、
見始めたら止まらないという恐ろしい魅力も有る。
ただ、それ故にやや複雑すぎて、
しっかり集中して見ていないと話の展開について行けないかもしれない。
容赦ない恐怖
特筆すべきなのが、Netflix配信ならではの「容赦の無さ」。
ビデオシリーズから始まり劇場版が作られたシリーズだが、
今回は原点であるビデオシリーズを思い出させる、これでもかという恐ろしさを感じた。
幸せな人達が呪いの家に関わった事で一転して恐ろしい目に合うだけでなく、
「元々不幸な人たちがさらに不幸で恐ろしい目に合う」のが本当に恐ろしい。
うわーもう見てらんない!と思う程だ。
幽霊ももちろん怖いが、人間がとにかく恐ろしい。
不幸な人が呪いの家に関わる事で徹底的に不幸になる。
しかも、その不幸は時が経っても終わる事がないし、連鎖し続ける。
テレビでの放送は当然ながら無理で、
劇場公開する作品であっても「これは無理」と却下されるような過激さなので、
視聴の際は十分に注意して頂きたい……。
生々しさと、新たなアプローチ
また、今回は現実にあった事件や事故を要所要所に盛り込んでいるので、
非常に生々しくて嫌な感じがする。
それに加え、日本のホラー作品ならではのジワジワと迫りくる恐怖。
いや、過去の日本のホラー作品と比べても
「分かりやすい怖さの演出」をできる限り排除していて、
まるでその場にいるかのような息苦しさを覚えるような感覚だった。
伽椰子と俊雄があまりにも「ホラー作品の分かりやすいアイコン」と化してしまった今、
この新たなアプローチは大成功していると思う。
(逆に、そのアイコン化を上手く利用したのが「貞子vs伽椰子」だった。)
今後「呪怨 呪いの家」はホラー作品を語る上で外せない名作になるのでは、と思う。
1本30分ほどの全6話を一気に見終えてしまった。
呪怨シリーズのファンも、
シリーズが増えすぎていてどこから見ていいか分からないという新規の人も、
是非見て欲しい傑作。
いずれ来るはずのシーズン2の配信が楽しみだ。